中国学術は、その歴史において、経学・語学・史学・諸子学・文学・医学・天文学、その他の学術を含んできた。
それだけに、学術はそれぞれの専門に分化しがちでもあった。
しかし、清朝中期に、そのような細分化をよしとせず、あらゆる歴史的な事象を貫通する「通」という発想のもと、学術・思想・書物・歴史・文学をとらえ直そうとした「変わった学者」が登場した――「章学誠」(一七三八〜一八〇二)である。
その構想を書き著した『文史通義』をはじめとするテクストを詳細に読み解くことで、その思想を育んだ様々な脈絡、章学誠の学説・思想の同時代的意義、また、その学説が後世に与えた影響や展開について、多角的な視点から論究する。
章学誠が後世に向けて発したメッセージを受けとめ、その意義と可能性を問う。