天平写経の最優品を影印、原寸・原色で白点・朱点を完全再現
・国宝「金光明最勝王経」とは・・・
写本・十巻。各巻縦約27.0センチ、全長678~892センチ。
端正で美しい筆跡により書写された天平写経の最優品。各巻巻尾の識語(願文)より、天平宝字6年(762)、百済豊虫が両親の菩提を祈願して書写させたものと知られる。
全巻に亘り白墨・朱により加点・書入がなされており、同経の読誦・理解のあり方を現在に伝えている。特に白墨は平安初期(9世紀)のものと推測され、詳密さ・明瞭さにおいて他に類するもののないことからも、当該期資料の最高峰とされる。また、朱点は仮名とヲコト点(喜多院点)より成り、永長2年(1097)の加点奥書を有している。
発願者の百済豊虫については、他の資料に見出すことが出来ないが、本経巻の願文が、光明皇后発願による「五月一日経」のそれと酷似することから、光明皇后もしくは称徳天皇周辺の人物かと推測されている。
・全国の国分寺に配布された「金光明最勝王経」
「金光明最勝王経」は、四天王をはじめとする諸天善神による国家鎮護を説く経典である。唐の義浄が長安3年(703)に漢訳し、日本には養老2年(718)にもたらされた。
奈良時代において、鎮護国家思想の思想的バックボーンとして最も重要視された経典のひとつであり、聖武天皇は「金光明最勝王経」を写経させ全国に配布、また、天平13年(741)に全国に建立された国分寺(金光明四天王護国之寺)では同経の読誦が行われた。
・本書の特長
◎天平写経の最優品、国宝「金光明最勝王経(天平宝字六年百済豊虫願経)」(西大寺所蔵)の全編を原寸・原色で影印。日本史・国語史・仏教史・文化史等に関する絶大な資料的価値を有する本経巻のフルカラー全編公開は史上初である。
◎高精細な製版・印刷により、流麗な筆致、詳密に付された白点・朱点を忠実に再現。
◎佐伯俊源(日本史)・月本雅幸(国語学)・野尻忠(文化財学)の諸氏による解題を付し、本経巻の歴史的・文化史的位置づけを示した。
*こちらの商品は二分冊(分売不可)となっております。