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古今和歌集と礼楽思想

勅撰和歌集の編纂原理
尤海燕 著
ISBN 978-4-585-29055-1 Cコード 3090
刊行年月 2013年6月 判型・製本 A5判・上製 432 頁
キーワード 和歌,平安,中古

定価:13,200円
(本体 12,000円) ポイント:360pt

 品切 
書籍の詳細
勅撰和歌集は、いかなる思想基盤の下に編纂されたのか

日本史上最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』は、和歌文学に公的地位を与え、漢風謳歌時代の終焉と国風文化の確立を宣言したものであり、後世に王朝和歌の頂点と仰がれ、国民的美意識や思考様式の本源とされてきた。また、『古今集』により創始された和歌勅撰集の伝統も永く守られ、二十一代集まで延々と続けられた。
『古今集』がこうした規範性や永続性をもち得たのはなぜだろうか。また、日本で和歌の勅撰集が編まれつづけるのはなぜだろうか。
古代東アジア儒教文化圏における国家統治・人心調和の思想基盤である「礼楽思想」の観点より、『古今集』真名・仮名両序を精緻に検証することで、「歌」そして「勅撰」の思想を全面的かつ体系的に捉え直し、歴史的文脈の上に勅撰集編纂の営みを定位する。

 

 

目次
序文 三角洋一(東京大学名誉教授)
序 渡辺秀夫(信州大学名誉教授)
凡例

序章
研究の目的と方法/各章の概要

第一章 日本の礼楽思想史―『古今集』を生み出す土壌として
「楽」の概念/「楽」の思想の大要/日本における礼楽思想の受容

第二章 『古今集』における尚古主義―「礼楽」という大枠の中で
「古今」という命名の由来/理想の聖代―古代/近代の衰落/礼楽思想における古代思慕

第三章 和歌の発生―物と心
問題の所在/「志」の意味/「事、業、繁きものなれば」の意味/更なる裏付け/和歌の発生論と楽論

第四章 「音」と「楽」―勅撰集の編纂原理
和歌の起源―「声」から「音」へ/楽論における「声」・「音」・「楽」の原理/「徳音之謂楽」/勅撰集の編纂原理

第五章 「風」から「そへ歌」へ
『毛詩』大序に見る「風」/唐までの「風」の変遷/『古今集』仮名序の「風」(そへ歌)/「風」・「そへ歌」の系譜/歌としての「風」の正当性

第六章 「献和歌」の深層―采詩制との関連について
問題提起―先行研究の紹介/紀長谷雄の詩序をめぐって/采詩・献詩と諷諌/『古今集』両序に見る官人像―采詩官的特徴をめぐって

終章
研究の結論と意義/今後の課題と展望

初出一覧/あとがき/中文あとがき/英文要旨/中文要旨/索引
プロフィール

尤海燕(ゆう・かいえん)
中国青島大学助教授。博士(東京大学)。専門は日本古典文学、日中比較文学。
主要論文に「「風」、「諷歌」と「そへ歌」」(『日本文学』56-5、2007年5月)、「「物」と「心」―和歌の発生論」(『古代文学』第47号、2008年3月)、「『古今和歌集』の真名序と仮名序」(『日語学習と研究』2010-5、2010年10月)、「『古今和歌集』の尚古主義」(『外国文学評論』2010-4、2012年11月)、訳書に『日本的詩歌―其骨骼和肌肤』(安徽大学出版社、2010年3月〈大岡信『日本の詩歌―その骨組みと素肌』岩波書店、2005年〉の中国語簡体字版)などがある。

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