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現代ドイツでは、二十一世紀のあるべき理想の社会を「市民社会」の概念を用いて語る傾向が強まっている。本巻ではその「市民社会」に着目して、これが含意する意味内容の歴史的な変遷を追いながら、ドイツの国家と市民、国家と社会の関係がどのようなものであったかを検討する。そして、社会主義体制下のドイツで「市民社会」再生への動きがどのように生じたかを見た後、「市民社会」に関する日独比較の可能性を追究する。
石田勇治(いしだ・ゆうじ)1957年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。主な著書にJungkonservative in der Weimarer Republik. Der Ring-Kreis 1928-1933, Frankfurt am Main 1988、『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書、2015年)、『過去の克服―ヒトラー後のドイツ(新装版)』(白水社、2014年)、『20世紀ドイツ史』(白水社、2005年)、共編著に『ジェノサイドと現代世界』(勉誠出版、2011年)など。川喜田敦子(かわきた・あつこ)東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門はドイツ現代史、ドイツ地域研究。主な著書に『東欧からのドイツ人の「追放」 二〇世紀の住民移動の歴史のなかで』(白水社、2019年)、『ドイツの歴史教育』(白水社、2005年)、共著に『図説ドイツの歴史』(河出書房新社、2007年)、共編著に『歴史としてのレジリエンス 戦争・独立・災害』(京都大学学術出版会、2016年)、訳書にイアン・カーショー著『ヒトラー 上 1889-1936 傲慢』(白水社、2015年)など。平松英人(ひらまつ・ひでと)1970年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科グローバル地域研究機構ドイツ・ヨーロッパ研究センター助教。専門はドイツ近現代史、市民社会研究。主な著者・論文はBürger im Spiegelbild der Armut. Armenwesen und Armenfürsorge in den Städten Köln und Osaka im Vergleich. München: Iudicium Verlag 2018、「19世紀ドイツ都市における公的救貧事業の理念と実践―市民的自由主義とキリスト教慈善事業の間で」(『キリスト教社会福祉学研究』49号、2017年)など。辻英史(つじ・ひでたか)法政大学人間環境学部教授。専門は近現代ドイツ史。主な著書に『社会国家を生きる』(共編著、法政大学出版局、2008年)、『歴史のなかの社会国家』(共編著、山川出版社、2016年)など。