アジア遊学162
ニホンニオケルブントブンガク

日本における「文」と「ブンガク(bungaku)」

河野貴美子・Wiebke DENECKE 編
ISBN 978-4-585-22628-4 Cコード 1390
刊行年月 2013年3月 判型・製本 A5判・並製 256 頁
キーワード 古典,近現代,近世,中世,中古,上代

定価:2,750円
(本体 2,500円) ポイント:75pt

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書籍の詳細
「文」とは何か―

「文」という概念は、東アジアの文化史において特別に重要な意味をもち、また実に多様な役割を果たしてきた。
古代日本においても、中国の「文」に関する複層的な概念が早くから受容されたが、明治期になると、それ以前の「文」の概念は大きく様相を変え、「ブンガク(bungaku)」ということばはヨーロッパの「literature」等の訳語として現れ、現在に至るまでそれら欧米に傾倒した「文学(ブンガク(bungaku))」の意味によってまずは捉えられるという状況が続いている。
しかし、「文」の意義と歴史を考えてみるとき、東アジアに特有の意義をもって形成、継承されてきた伝統的な「文」の概念への問題意識なくしては、日本、そして東アジアの文化の本質に迫ることは不可能なのではないか。
近代以降隠蔽されてしまった「文」の概念の文化的意味と意義を再び発掘し、21世紀の現代に続く「文」の意味と意義を捉え直してみたい。
これが本書『日本における「文」と「ブンガク(bungaku)」』の出発点である。

 

 

目次
序言 河野貴美子・Wiebke DENECKE

1 文と言語―ふみとことば
東アジアにおける「文」の概念をめぐる覚え書き 鈴木貞美 
日本古代の文字文明 新川登亀男 
「言」「語」と「文」―諺を記すこと 河野貴美子 
『源氏物語』の「ふみ」と「文」―「少女」巻の恋文から漢学・漢籍・漢詩まで 陣野英則 

2 文と経国
大宝二年度遣唐使が日本の文筆にもたらしたもの―慶雲三年正月十二日勅書を中心に 高松寿夫 
嵯峨朝における「文章経国」再論 Wiebke DENECKE 
福地源一郎の「文」学 山田俊治 

3 文士・文人
「文道の大祖」考―学問神としての天神の淵源 吉原浩人 
「文章」と「才学」―平安後期の用例からその特質を探る 佐藤道生 
〈文人〉精神の現代的展開―服部南郭・祇園南海から吉増剛造・車谷長吉まで 林浩平 

4 文と作文
『古事記』序文生成論典拠再考―上代日本の作文の一例として 瀬間正之 
詠物と言志―『懐風藻』から勅撰三集に至る 蒋義喬 
詩歌の日記化と白楽天の詩歌 張哲俊 
〈花鳥風月〉形成への道―平安朝漢詩文に見る 後藤昭雄 
『新楽府略意』と『唐蒙求』―「新楽府」の説話的側面 Jennifer GUEST 

5 文からブンガク(bungaku)へ
成島柳北の戯文と擬文―『伊都滿底草』から新聞雑録まで Matthew FRALEIGH 
感情表現としての「文」の近代―夏目漱石『草枕』における詩歌と自然と「浪漫主義」 Daniel POCH 
雑誌『文』における「文」―言文一致論争を中心に 宗像和重 

* * *

〈文〉の学の近代へ―小中村清矩と芳賀矢一との距離 神野藤昭夫

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