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情報の伝達・蓄積媒体である文書。特にヒト・モノの結節点である都市においては、膨大な量の文書を作成・授受・保管してきた。蓄積された過去情報は社会集団により選択、再編集され、集団の記憶として儀礼や顕彰などの行為をともない再生産されていく。文書の保管と記憶の創生という観点より、近世都市の歴史叙述のありかたを考察する。
渡辺浩一(わたなべ・こういち)1959年東京都生まれ。国文学研究資料館教授、博士(文学)。主な編著書に、『近世日本の都市と民衆―住民結合と序列意識』(吉川弘文館、1999年)、『日本近世史料学研究―史料空間論への旅立ち』(高木俊輔共編、北海道大学図書刊行会、2000年)、『まちの記憶―播州三木町の歴史叙述』(清文堂出版、2004年)、『中近世日本とオスマン朝にみる国家・社会・文書』(林佳世子、オゼル・エルゲンチ共編、東洋文庫、2009年)などがある。