平川祐弘決定版著作集15
ハーンハナニニスクワレタカ

ハーンは何に救われたか

平川祐弘 著
ISBN 978-4-585-29415-3 Cコード 0098
刊行年月 2017年8月 判型・製本 A5判・上製 528 頁
キーワード 伝記,思想,近代

定価:6,600円
(本体 6,000円) ポイント:180pt

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書籍の詳細
横浜に上陸したハーンは青い瞳の混血児を見てハッとした。
ダブリンの少年時代のみじめな自分を思い出したからである。
そんなハーンはいかにして捨子の境涯から脱け出し、救われたか。
Un homme qui se baigne se sent partout chez lui.
平川の新著は、泳ぎを習い、自立し、日本でアット・ホームとなるハーンを描く。

ハーンが泳いだ海で著者は泳ぐ。九月半ば、西日の傾くアイルランド。同行の男は海に足を入れて引っ込め、女は寒さに首を縮める。だが「温かい。メキシコ海流だ」と七十過ぎの平川がトラモアの海から上がってくる。「tough」と運転手が言う。この学者はマルティニークでも焼津でも、ハーンについて講演した後で、泳ぐ。その著者は新刊『ハーンは何に救われたか』で、人生の荒波を泳ぎ抜くハーンの自立への軌跡をたどる。著作集第十巻から十五巻にいたる六冊のハーン研究の掉尾を飾るこの大冊も、日本人の手になる外国文学研究の典型として末永く読まれるであろう。
〈優しかる学者にあらずば優しかりしハーンの姿斯くは描き得じ〉(市原豊太)。

 

 

目次
まえがき 日本でハーンは救われずに死んだのか

Ⅰ
捨子は何に救われたか―ハーンと母なる海―
『鳥取の布団の話』と『マッチ売りの少女』

Ⅱ
盆踊りの系譜―ハーンからモラエスへ―
手にまつわる怪談―ハーン、ルファニュ、モーパッサン―
大山を描いたハーンと直哉
付録 蘆花の『大海の出日』
物の怪はどこに消えたのか
小泉八雲の怪談の世界

Ⅲ
小泉八雲と永遠の女性
母親のいるふるさと―小泉八雲と萩原朔太郎
幻想空間の東西
日本への回帰か、西洋への回帰か―ハーンの『ある保守主義者』
ハーンについての先達や知友たち
ハーンとさまざまな色の女たち

Ⅳ
ハーンと俳句
ハーンと神道
ハーンにおけるクレオールの意味―ルイジアナ、マルティニーク、日本―

Ⅴ
ハーンにまつわる『初期英文伝記集成』について
英文『小泉八雲書簡集完全版』The Complete Letters of Lafcadio Hearn について
小泉八雲の旧訳全集について

ハーンと女たちの物語                   中村和恵
対談 学匠詩人平川祐弘の奇蹟―決定版著作集刊行を期に― 平川祐弘・坂本忠雄
著作集第十五巻に寄せて―香取奴の思い出―       平川祐弘
著作集第十五巻初出一覧
プロフィール

平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931(昭和6)年生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史家。第一高等学校一年を経て東京大学教養学部教養学科卒業。仏、独、英、伊に留学し、東京大学教養学部に勤務。1992年定年退官。その前後、北米、フランス、中国、台湾などでも教壇に立つ。
ダンテ『神曲』の翻訳で河出文化賞(1967年)、『小泉八雲―西洋脱出の夢』『東の橘 西のオレンジ』でサントリー学芸賞(1981年)、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞(1991年)、鷗外・漱石・諭吉などの明治日本の研究で明治村賞(1998年)、『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』で和辻哲郎文化賞(2005年)、『アーサー・ウェイリー―『源氏物語』の翻訳者』で日本エッセイスト・クラブ賞(2009年)、『西洋人の神道観―日本人のアイデンティティーを求めて』で蓮如賞(2015年)を受賞。
『ルネサンスの詩』『和魂洋才の系譜』以下の著書は本著作集に収録。他に翻訳として小泉八雲『心』『骨董・怪談』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』、英語で書かれた主著にJapan's Love-hate Relationship With The West(Global Oriental, 後にBrill)、またフランス語で書かれた著書にA la recherche de l'identité japonaise-le shintō interprété par les écrivains européens(L'Harmattan)などがある。

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