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歴史学は「過去」を対象とする学問である。歴史家が「明治時代」を新たに学問の対象としたとき、そこではどのような営為がおこなわれていたのか。近代の政治家、官僚、軍人などの個人文書を収集・公開する国立国会図書館憲政資料室の創設に関わり、数々の史料編纂等、研究のための史料環境の整備に尽力した、日本近代史研究の先駆者である大久保利謙。その足跡を史学史・史料論・蔵書論の観点を交え検証し、日本近代史研究の誕生の瞬間を描き出す。
佐藤雄基(さとう・ゆうき)立教大学文学部准教授。専門は日本中世史、史学史。主な著書・論文に『日本中世初期の文書と訴訟』(山川出版社、2012年)、「朝河貫一とマルク・ブロックの往復書簡戦間期における二人の比較史家」(向井伸哉・斎藤史朗との共著、『史苑』76巻2号、2016年)、「文書史からみた鎌倉幕府と北条氏―口入という機能からみた関東御教書と得宗書状」(『日本史研究』667号、2018年)などがある。
★書評・紹介★「読売新聞」(2020年7月26日・12面文化欄)に書評が掲載されました。 →評者:苅部直(東京大学教授)