当初のもの、唯一のもの、独創的なもの、真正なもの…という「オリジナル」の語義。
建築において、「オリジナル」とは何を意味するのか。
文化財の修理も新築の設計、建設も既存建物の改修も文化財の修理も、先行して存在する建築・理念を参照しつつ新たな姿を創作するという意味では、過去の文脈から完全に独立した独創としてのオリジナルは想定しえないことになる。それでは何をもって「オリジナル」とし、そこにどのような価値を見いだすのか。果たして「オリジナル」は絶対的なのか?
日本建築を中心として、日本美術や、諸外国の建築・文化財などとの比較から、時代、立場、思想により変わりゆく「オリジナル」に類する価値の捉え方について再検討する。