チュウゴクカンダイボソウソウショクノチイキテキケンキュウ

中国漢代墓葬装飾の地域的研究

菅野恵美 著
ISBN 978-4-585-22028-2 Cコード 3020
刊行年月 2012年2月 判型・製本 A5判・上製 306 頁
キーワード 美術,中国,考古

定価:9,900円
(本体 9,000円) ポイント:270pt

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書籍の詳細
漢文化の広がり・変化と地域的特徴を探る

漢代には墓や祭祀施設など、墓葬にまつわる空間を画像や紋様で装飾することが流行した。
具体的には、墓地への入り口や祭祀施設など地上の諸施設、そして地下空間である墓室の門や壁面・梁・柱・棺などの装飾である。通常は画像石・画像磚や壁画など呼び分けられる。
本書はこれらを「墓葬装飾」と総称し、漢代の統一化と地域化について論じる。

このような視点に立つ理由は、通史的に漢代を見た場合、特に後漢は、漢文化の浸潤・統一期であると同時に、地域の成熟に裏付けられた地域の台頭・地域化の時代であるからだ。
相反するこのような要素を考察する材料として、墓葬装飾は相応しい。なぜなら「モノ」であるが故に地域に限定された作り手の集団が存在し、表象によって時代性および地域性を反映するからである。
本書は歴史地理学および考古学的手法を利用して「モノ」の側面にアプローチし、図像学および歴史学的方法から「文化」を考察し、歴史的視野から地域的まとまりの形成と画像の受容について切り込むものである。
漢代の墓葬装飾については、これまで美術史や考古学方面からの研究蓄積がある。しかし総合的な画像の主題に関するものが多く、本書のような歴史地理および歴史学的視点からの、統一と地域化という漢代の特徴を論じた研究は皆無である。

 

 

目次
序章 
  はじめに
  一 墓葬装飾に関する先行研究
  二 研究の視点と方法、地域・時代区分
  三 本論の構成

前篇 地域研究
第一章 四川漢代画像磚の特徴と分布――特に同笵画像磚を中心として 
  はじめに
  一 画像磚の特徴と分布
  二 画像磚・画像石の分布と巴蜀社会
  おわりに
第二章 陝北画像石の地域的特徴
  はじめに
  一 陝北画像石の特徴と分布
  二 画像石墓が示す後漢時代の陝北社会
  おわりに
第三章 黄河下流域における画像石の分布
  はじめに
  一 画像分布の特徴
  二 黄河下流域の歴史空間
  おわりに

後篇 漢代墓葬装飾の受容と変遷
第一章 「『七女為父報仇』図について」
  はじめに
  一 画像に関する諸見解
  二 図像解釈
  三 物語の比較
  四 斉の女性と漢代における女性を取り巻く環境の変化
  おわりに
第二章 樹木画像の伝播と変容
  はじめに
  一 前漢の樹木図の変遷
  二 後漢の樹木図の変遷
  三 漢代の樹木
  おわりに
第三章 墓葬装飾における祥瑞図の展開
  はじめに
  一 祥瑞図の流行とその契機
  二 画像としての祥瑞図――図解的祥瑞図
  三 祥瑞のイメージ形成と画像の役割――構成的祥瑞図
  おわりに

終章
あとがき
初出一覧
文献一覧
索引
プロフィール

菅野恵美(かんの・えみ)
学習院大学非常勤講師、学習院大学東洋文化研究所客員研究員。専門は中国秦漢史。中国墓葬装飾研究。
著書・論文に、『黄河下流域の歴史と環境』(共著。東方書店、2007年)、「四川漢代画像磚の特徴と分布――特に同笵画像磚を中心として」(『史潮』51号、2002年)、「墓葬装飾における祥瑞図の展開」(『学習院大学東洋文化研究』第10号、2008年)などがある。

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