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翻案小説集ともいえる『雨月物語』を始めとする上田秋成の文業は、いかにして生み出されたのか。秋成の漢文受容は、後世へどのように展開するのか。秋成と漢文学を軸に、近世の中国小説受容史を構築する。中国白話小説からの影響と相違を探ることで、日本文学とは何かをも照射する論文集。*中国白話小説とは…宋・元の時代に興り、明代に発達した、俗語・口語を用いた小説。『水滸伝』『平妖伝』などを代表作とする。上田秋成を始め、曲亭馬琴ら近世の文人たちへも大きな影響を与えた。
徳田武(とくだ・たけし)1944年群馬県生まれ。明治大学法学部教授。早稲田大学第一文学部卒、1974年同大学院博士課程修了。文学博士。1979年に窪田空穂賞、1980年に日本古典文学会賞、1987年『日本近世小説と中国小説』で日本学士院賞を受賞。主な編・著書に、『梁田蛻巌 秋山玉山』(江戸詩人選集2、岩波書店、1992、復刊、2002)、『近世説美少年録』1・2・3(新編日本古典文学全集、小学館、1999~2001)、『日本漢詩集』(新編日本古典文学全集、小学館、2002)、『近世日中文人交流史の研究』(研文出版、2004)、『幕末維新の文人と志士たち』(ゆまに書房、2008)、『朝彦親王伝』(勉誠出版、2011)、『秋月韋軒伝』(勉誠出版、2012)、『馬琴・京伝中編読本解題』(勉誠出版、2012)などがある。