音楽が近代仏教の展開に果たした役割とは何か
巡礼や葬式などでうたわれる宗教音楽「ご詠歌」。高野山真言宗をはじめとする仏教教団は近代にご詠歌の流儀を立ち上げ、それを布教に役立ててきた。
一方、ご詠歌を通じて仏の教えを受けた信者も、信心からご詠歌を唱えるとともに、それを音楽としてもうたい、伝承を続けてきた。
本書は、綿密な資料調査とフィールドワークに基づく最新の知見から、ご詠歌が仏教教団と信者の双方にとって宗教的・音楽的価値をあわせ持つ有効なメディアとして機能してきたことを明らかにするとともに、宗教音楽の持つ力の可能性に光を当てる。