釈迦の遺骨として、アジア各地で篤い信仰を集める「舎利」。
その容れ物である舎利容器は、特定の用途を持つ器形や、別の文脈で意味を成した図像が複合的に組み合わされ、舎利を荘厳する器として仕立て上げられた。
それゆえ、「器のかたち」―どこで、どのような器の形状・素材・図様が採用されてきたのかという問題は、「舎利の意味」―舎利が各地域の社会においてどのような存在として受容されたのかということと相関関係を有している。
十数年にわたり行われた中国・日本・韓国・ベトナムの実地調査を礎とした、舎利及びその荘厳に関する最新の知見を三部十四本の論考により提示。
また、資料編では、現地調査にて得られた作例の基礎データ、また、舎利荘厳における大きな画期である仁寿舎利塔の網羅的調査記録を提示、貴重な画像資料も収載した。
美術史学界・考古学界のみならず、日本及び東洋の文化史に関わる領域に広く寄与する画期的成果。