キンセイニホンノレキシジョジュツトタイガイイシキ

近世日本の歴史叙述と対外意識

井上泰至 編
ISBN 978-4-585-22152-4 Cコード 3021
刊行年月 2016年6月 判型・製本 A5判・上製 512 頁
キーワード 古典,日本史,江戸,近世

定価:8,800円
(本体 8,000円) ポイント:240pt

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書籍の詳細
「他者」という鏡の奥に「自己」認識を探る

世界が可視化され広がりをみせていく近世日本、新たな「他者」との邂逅は「日本」という自己認識を形成・変容させていった。
「武」の記憶、書物のネットワーク、藩による修史事業、ナショナリズム的想像力、「近代国家」を志向する語りの諸相―。
五つの視点から、自己と他者をめぐる言説が記憶となり、語られていく諸相を捉え、近世そして近代日本の世界観・思考のありかたを照らし出す。

 

 

目次
序―自分らしさという「確信」はどこから生まれるのか? 井上泰至

第一部 「武」の記憶のナルシシズム
朝鮮観の変転―近世の歴史叙述と対外認識を論ずるために 井上泰至
写本軍書類に見る朝鮮出兵時の立花宗茂と小早川隆景―語り継がれる「碧蹄館の戦い」の記憶 倉員正江
フヴォストフ事件と『北海異談』―壬辰戦争の戦争史的な検討と『海国兵談』の利用を中心に
金時徳
硫黄島の安徳天皇伝承と薩摩藩・島津斉興―文政十年の「宝鏡」召し上げをめぐって 鈴木彰

第二部 書物のネットワークが生み出す世界観
室鳩巣『赤穂義人録』論―その微意と対外意識 川平敏文
〈異国襲来〉の原像―塙保己一『螢蠅抄』から 佐伯真一
節用集の付録による教養形成研究のための覚書 佐藤貴裕
長崎通詞の西欧文明理解―志筑忠雄を手掛かりに 久保誠

第三部 藩という武家「国家」の修史事業
松浦静山のみた境界と「属地」―普陀山をめぐる考証から 吉村雅美
大名文庫形成試論―大名はなぜ古典籍を集めたのか 前田雅之
『大日本史賛藪』所収外国伝賛の対外史認識 勢田道生
島津家の歴史編纂と幕末薩摩藩の対外意識 寺尾美保

第四部 ナショナリズム的想像力の誤読
国学者の歴史認識と対外意識―本居宣長『馭戎慨言』をめぐって 田中康二
『日本外史』の執筆意図と誤読 濱野靖一郎
「鎖国論」から「異人恐怖伝」へ 大島明秀
『万国公法』と「皇国」の「公法」 三ツ松誠

第五部 近代日本国家の言説の諸相へ
近世の考証的学問から近代国学へ 藤田大誠
一八七四年の「台湾危機」―「回避した戦争」をめぐる諸言説について 樋口大祐
時代と世話の「朝鮮事変」―河竹黙阿弥は壬午事変をどう描いたか 日置貴之
近世漢詩に描かれた壬辰戦争 合山林太郎
軍神を生み出す回路―幕末の楠正成 井上泰至

あとがき
執筆者一覧
プロフィール

井上泰至(いのうえ・やすし)
1961年生まれ。防衛大学校教授。
専門は日本近世文学(上田秋成・軍書・人情本)、近代俳句(子規・虚子)。
著書に『秀吉の対外戦争』(金時徳と共著、笠間書院、2011年)、『近世刊行軍書論』(笠間書院、2014年)、『近代俳句の誕生』(日本伝統俳句協会、2015年)などがある。

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