アジア遊学275
カラモノトハナニカ

「唐物」とは何か

舶載品をめぐる文化形成と交流
河添房江・皆川雅樹 編
ISBN 978-4-585-32520-8 Cコード 1321
刊行年月 2022年10月 判型・製本 A5判・並製 296 頁
キーワード 文化史,交流史,日本史,古代,近世,中世

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細
「唐物」の文化史的意義を問い直す

奈良から平安、中世や近世にかけて受容されてきた舶載品である「唐物」。その研究は歴史学、美術史、日本文学など、これまで様々な分野で進展してきた。しかし、その内容は多種多様にわたり、共通の理解が異なる分野で必ずしも共有されてきたとはいいがたい。
そこで2011年に刊行された『唐物と東アジア』(アジア遊学)の第二弾として、対象地域・時代を広げ、改めて「唐物」の概念の成立や展開、その歴史的・ 文化史的な意義を多角的な視点から再検証する。
唐物の受容や海外交流に関する研究の現状と課題を提示し、唐物研究の新たなステージを拓く画期的な成果。

 

 

目次
[序言]「唐物」の文化史的意義を問い直す 河添房江
[総論]人・モノ・情報の移動・交流からみた「日本文化」―「唐物」と「国風文化」をめぐる研究の狭間から考える 皆川雅樹

Ⅰ 唐物の成立と展開
「唐物」の成立 河内春人
考古学からみた古代から中世の唐物交易の変遷 菅波正人
鎌倉時代の唐物と文化伝播 大塚紀弘
[コラム]鎌倉の「唐物」─金沢北条氏ゆかりの称名寺伝来品 梅沢恵
室町時代政治史からみた唐物 松永和浩
室町仏教と唐物 川本慎自
[コラム]能・狂言と唐物―日明貿易と応永の外寇のはざま 関屋俊彦
[コラム]唐物としての銭貨 川戸貴史
[コラム]「青花」の受容、「染付」の展開―日本中近世陶磁史からみた唐物 高島裕之
海渡る「唐物」―九〜十三世紀中国より見た 山崎覚士
高麗・朝鮮王朝との交流と唐物 関 周一
[コラム]北方・南方文化と唐物 蓑島栄紀
[コラム]ふたつの「ういろう」―ポスト・モンゴルの海域交流が創った「唐物」 向正樹
[コラム]世界のなかの「唐物」現象―「唐物」価値の源泉を求めて 塚本麿充

Ⅱ 日本文化のなかの唐物
金属工芸からみた「唐物」 久保智康
平安漢文学からみた唐物―文具を中心として 河野貴美子
[コラム]薫物と唐物 田中圭子
[コラム]日本文学と鸚鵡―歌論用語「鸚鵡返し」をめぐって 小山順子
泉涌寺における唐物の受容 西谷功
〈唐物〉としての「方丈草庵」―維摩詰・王玄策から鴨長明へ 荒木浩
唐物としての書と書物―無学祖元を例に 堀川貴司
二つの牧谿伝承作―円覚寺蔵「白衣観音図」と建長寺蔵「猿猴図」をめぐって 高橋真作
[コラム]花道史における中国瓶花と唐物 井上治
[コラム]近世の文人と唐物 高松亮太
[コラム]近代文化と「唐物」 山本真紗子
プロフィール

河添房江(かわぞえ・ふさえ) 
東京学芸大学名誉教授。『源氏物語』を中心に平安文学を専攻。唐物を媒介に、古典文学と東アジアの関係も研究している。
主な著書に『性と文化の源氏物語』(筑摩書房、1998年)、『源氏物語時空論』(東京大学出版会、2005年)、『源氏物語と東アジア世界』(NHKブックス、2007年)、『光源氏が愛した王朝ブランド品』(角川選書、2008年)、『唐物の文化史』(岩波新書、2014年)、『源氏物語越境論 唐物表象と物語享受の諸相』(岩波書店、2018年)、編著に『新装版 唐物と東アジア―舶載品をめぐる文化交流史』(共編著、勉誠出版、2016年)などがある。

皆川雅樹(みながわ・まさき) 
産業能率大学経営学部准教授。専門は日本古代史。日本列島を中心とした古代東アジアにおけるモノの交流史などを研究している。
主な著書に『日本古代王権と唐物交易』(吉川弘文館、2014年)、編著に『新装版 唐物と東アジア―舶載品をめぐる文化交流史』(共編著、勉誠出版、2016年)、『歴史教育「再」入門―歴史総合・日本史探究・世界史探究への挑戦』(共編著、清水書院、2019年)、『持続可能な学びのデザイン―公共・歴史総合への架け橋』(編著、清水書院、2021年)、『失敗と越境の歴史教育―これまでの授業実践を歴史総合にどうつなげるか』(共編著、清水書院、2022年)などがある。

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