デジタルアーカイブノキョウイクカツヨウガイド

デジタルアーカイブの教育活用ガイド

大井将生 責任編集/太田絵里奈・瀬川結美・谷島貫太・宮田諭志・宮本淳子・安本真也 編
ISBN 978-4-585-30027-4 Cコード 1000
刊行年月 2026年10月 判型・製本 B5判・並製 384 頁
キーワード 教育,総記,アーカイブズ,博物館,図書館

定価:4,950円
(本体 4,500円) ポイント:135pt

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書籍の詳細
デジタルアーカイブを、過去を保存する場所から、未来の学びを創る場へ

GIGAスクールで、端末やネットワークは、広がった。
しかし生成AIが「答え」を生み出す時代に、私たちは何を問い、何を根拠に考えるのか。
その探究を支えるのが、人びとの記録と記憶を社会にひらき、一人ひとりの問いを多様な資料へとつなぐ知の基盤、デジタルアーカイブ(DA)である。
本書は、「S×UKILAM(スキラム)連携」をはじめ、教育・学習とDAを結ぶ理論・方法・実践を体系化した。
学校と、図書館・文書館・博物館や、地域・企業・NPOをつなぎ、多様な資料を読み解き、根拠を確かめ、他者と対話し、新たな知を生み出す探究的な学びを、豊富な実践例とともに描き出す。
〈デジタルアーカイブの教育活用〉を切り拓く、日本初の専門書。

【本書の特色】
・デジタルアーカイブを用いた授業の流れの実例を、小学校から高校までの、校種に応じて紹介(第5章)。また、デジタルアーカイブを使用する意義を、小学生から大学院生までの学習者(生徒)がまとめた「学び手の視点」を収録(第4章)。
・巻末に付録として、教育関連のデジタルアーカイブの用語集、実際の授業で使用できる、編集委員おすすめのデジタルアーカイブに関するリンク集、また、S×UKILAMのワークショップ開催一覧を収録。索引も完備。

 

 

目次
はじめに――どこでもドアとタイムマシンを教室へ 大井将生
序論――「問い」を起点とした、知の循環の設計 大井将生
本書全体の概念図――デジタルアーカイブマンダラ にく村知夏/nixon

第1章 羅針盤――「問い」から出発する冒険
1-1 学ぶ主体の問いから出発すること――デジタルアーカイブを通して学びの地図を作るために 谷島貫太
1-2 教えることの構造転換――スキーマの形成から捉えるデジタルアーカイブ学習と支援者の役割 宮本淳子
1-3 構築と活用の循環――〈人〉と〈データ〉のネットワーク 大井将生
1-4 問いを生み出す現場――デジタルアーカイブ史資料を活用した授業実践 宮田諭志
【コラム】子どもの〈問い〉に寄り添うということ――オーラルヒストリ―の経験から考えるデジタルアーカイブの可能性 久保田智子

第2章 地図――デジタルアーカイブのこれまでと現在地
2-1 GIGA以後の現在地・教育現場の現状と課題――学びのDXとMLA連携の視点から宮田諭志
2-2 学校図書館の最定置――3つの機能で動き出す探究拠点 宮澤優子
2-3 教育メタデータ――資料を学校現場に届けるルートを拓く 瀬川結美
2-4 公共図書館が担うデジタルアーカイブ活用をめぐる機能と実践 森いづみ
2-5 公文書館の使命――「デジタル化された資料の活用」を念頭に置いた取り組み 田川雄一
2-6 博物館の拡張――博物館が提供するデジタルコンテンツの座標値 阿児雄之
2-7 ジャパンサーチのこれまでとこれから――実務から読み解く分野横断型プラットフォーム 笹山光樹・青池亨・石川侑希
2-8 教育情報の構造化――教科書と学習指導要領のLOD 江草由佳
2-9 デジタル資料をめぐる著作権と肖像権 鈴木康平
2-10-1 文部科学省の取り組み――GIGAスクール構想・教育データ利活用と生成AIの利活用 伊勢本惇示
2-10-2 文化庁のDX推進とミュージアムのデジタルアーカイブ化 中尾智行
2-10-3 デジタル庁の取り組み――教育DXロードマップと実証事業から描く「自分らしい学び」の実現へ 荒木真歩
2-11-1 地域の歴史・文化を子どもたちにつなぐ――プラットフォーマー・ADEACの取り組み 太田亮子・羽田野理子
2-11-2 教育現場での写真デジタルアーカイブ活用―総合写真エージェンシー・アフロの取り組み 斎藤紘一・﨑山志光
2-11-3 デジタルアーカイブの教育利用を促進する情報可視化ツールとその課題――DNP大日本印刷の取り組み 石澤祥子・脇屋智子
【コラム】デジタルアーカイブと古典教育 渡部泰明

第3章 工房――「問い」から教材を共創する場
3-1 共創スキーマの設計――S×UKILAM連携 大井将生
3-2 ワークショップ運用――役割分担と合意形成 瀬川結美
3-3 ファシリテーターというアグリゲーター 宮田諭志
3-4 教材化における留意点と改善の方向性――問いの深化・変容を促す教材設計を目指して 宮本淳子
3-5 形成されたコミュニティと成果物公開による知の循環 大井将生
3-6 教育におけるヨーロピアーナの利用をめぐる枠組みと実践的機能 ラウル・ゴメス・エルナンデス(Raúl Gómez Hernández)(大井将生 訳)
【コラム】S×UKILAM理論の拡張構想――教材制作と校務・指導は、S×UKILAM-Plusでこう変わる 乾理加

第4章 ギルド――デジタルアーカイブの教育活用を推進するコミュニティ
4-1 小学校におけるデジタルアーカイブ利活用 浅間原子
4-2 大学図書館を基点とした協働型アーカイビング――アーカイブの持続的発展を支えるコミュニティの形成 太田絵里奈
4-3 市立図書館を基点としたデジタルアーカイブ活用方法とコミュニティ――「美馬の記憶デジタルアーカイブ」の取り組みを通して 梶浦真子
4-4 市町村を基点としたデジタルアーカイブ活用方法とその効果――千葉県大網白里市のデジタル博物館を事例として 武田剛朗
4-5 教育活用に向けた博物館デジタルアーカイブの段階的公開と協働的更新 笹倉いる美
4-6 国立映画アーカイブにおけるデジタルアーカイブの教育活用とコミュニティの展望 玉田健太
【学び手の視点】資料が伝える学びの大切さ 中道喜翔
【学び手の視点】学習者に委ねられるデジタルアーカイブ 大原知佳子
【学び手の視点】デジタルだからこそ伝えられることとは 大矢真緒
【学び手の視点】「残す」だけでなく「伝える」デジタルアーカイブ 古松彩華
【学び手の視点】デジタルアーカイブとの偶然の出会いをデザインする――「アーカイブ・ガチャ」の実践 三輪玲以佳

第5章 クエスト――デジタルアーカイブを活用した教材レシピ集
5-1 教材化の四つのベクトル 大井将生
5-2 素材のメディア特性――テキスト・画像・映像・地図・統計・3D 安本真也
5-3 発問と学習フロー設計 宮田諭志
5-4-1 宝塚市の今と昔――伝統を守りながら、進化し続けるまち【小学校第3学年 社会科】 上村日向子
5-4-2 1枚の写真から広がる学び――里山に学び、これからの社会を考える【小学校第5学年 社会科】 恒川徹
5-4-3 歌声をひびかせて心をつなげよう【小学校第5学年 音楽科】 白石彩夏
5-4-4 大地のつくりと変化【小学校第6学年 理科】 江連知生
5-4-5 原爆で失われた「まち・ひと・くらし」【小学校第4-6学年 平和学習】 片山実咲
5-4-6 生徒が資料からストーリーをつくる試み――授業におけるジャパンサーチの活用【中学校第1学年 社会科】 髙橋傑
5-4-7 百人一首みくじを作る【中学校第2学年 国語】 阿部由美
5-4-8 令和の視点で探求する 明治から大正の激動【中学校第3学年 AI×美術科×社会科(教科横断授業)】 大浜美樹
5-4-9 「蝦夷国風図絵」から読み解く近世の蝦夷地【高等学校第2学年 日本史探求】 桐生海正
5-4-10 映像で学ぶ都市型震災――防災を“自分ごと”としてイメージする【中学校第2学年 総合的な学習の時間(防災教育)】 木戸崇之
【コラム】災害デジタルアーカイブの教育活用に関する課題と展望――福島県の事例から 安本真也

第6章 冒険は続く――それぞれの「問い」とともに
6-1 デジタルアーカイブの教育活用と評価指標 宮本淳子
6-2 デジタルアーカイブを教育現場に届けるために――学校教員・児童生徒の利活用を促す資料提供の工夫 瀬川結美
6-3 資料と教育をつなぐ――デジタルアーカイブ教育を支える人材と回路の設計 太田絵里奈
6-4 学びの時間を取り戻す――時間性のメディアとしてのデジタルアーカイブ 吉見俊哉

おわりに――本を閉じて、次の「問い」をひらく 大井将生

付録
用語集
おすすめデジタルアーカイブ・関連リソースリスト
S×UKILAM(スキラム)連携:多様な資料の教材化ワークショップ開催一覧

索引
執筆者一覧
プロフィール

責任編集
大井将生(おおい・まさお)
同志社大学文化情報学部准教授。
専門は「デジタルアーカイブの教育活用」(学際情報学・教育学)。
主な著書・論文に『デジタルアーカイブ入門――つかう・つくる・支える』(共編著、勉誠社、2025年)、「デジタルアーカイブを活用したキュレーション学習モデル――探究学習における「問い」と「資料」の接続」(共著、『デジタルアーカイブ学会誌』7(1)、2023年)、"S × UKILAM" collaboration to connect local digital resources and school education: Workshop and Archiving to construct network of "people" and "data", From Born-Physical to Born-Virtual: Augmenting Intelligence in Digital Libraries. ICADL 2022, 13636, 2022などがある。
受賞歴に、内閣府「デジタルアーカイブジャパン・アワード」(2022年)、デジタルアーカイブ学会「学会賞 学術賞(研究論文)」(2021、2023年)、Linked Open Data Challenge 最優秀賞、コミュニティ賞(2021年)、優秀賞(2023、2025年)、学術LOD賞(2024年)、じんもんこん優秀論文賞(2024年)など。


編集
太田絵里奈(おおた・えりな)
東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門(U-PARL)特任助教。
専門は前近代イスラーム史、地中海史。
主な論文に「イスティドゥアーによるイジャーザに基づく15世紀ウラマーの名目的関係構築」(『西南アジア研究』97、2024年)、「後期マムルーク朝有力官僚と聖地――ザイン・アッ=ディーン・イブン・ムズヒルの巡礼とハラマインにおける慈善」(『史学』88(2)、2019年)、訳書に『イスラームの形成――宗教的アイデンティティと権威の変遷』(慶應義塾出版会、2013年)などがある。

瀬川結美(せがわ・ゆみ)
1976年生まれ。筑波大学学術情報部アカデミックサポート課長。
2026年3月まで東京学芸大学総務部学術情報課勤務。2026年4月より現職。
主な著書・論文に、『江戸の絵本読解マニュアル――子どもから大人まで楽しんだ草双紙の読み方』(叢の会編(黒石陽子、石田智也ほかと共著)、文学通信、2023年)、「コレクション運用における連携・協力――東京学芸大学教育コンテンツアーカイブを事例として」(『情報の科学と技術』73(4)、2023年)、「デジタルアーカイブの教育利活用を目指して――東京学芸大学附属図書館における「みんなで翻刻」連携と「学校教材発掘プロジェクト」の試み」(木越みち、髙井力ほかと共著、『大学図書館研究』121、2022年)などがある。

谷島貫太(たにしま・かんた)
1980年生まれ。二松学舎大学文学部准教授。
専門は技術哲学、メディア論、記号論。
主な著書に『アテンション資本論――〈世界を存在させる力〉の政治経済学』(新曜社、2026年)、『都市と文化のメディア論』(編著、ナカニシヤ出版、2024年)、『メディア・リミックス』(編著、ミネルヴァ書房、2023年)などがある。

宮田諭志(みやた・さとし)
1983年生まれ。成城学園初等学校。
専門は社会科教育。
主な論文に「小学校社会科におけるデジタルアーカイブ史資料教材化の視点と実践例」(『学校図書館』(900)、2025年)、「「問い」の創発と多面的な学びを支援するデジタルアーカイブ展示と実空間の架橋」(『デジタルアーカイブ学会誌』8(1)、2024年)、「「見方」で歴史的事象をつなぐ学び――戦国~安土桃山時代 戦国の世から天下統一へ」(『社会科教育』61 (10)、2024年)などがある。

宮本淳子(みやもと・じゅんこ)
東京学芸大学人文社会科学系日本語・日本文学研究講座日本語学・日本文学分野、准教授。
専門は日本語学・日本語史。
主な論文に「「もとくさ」考――持明院入木道伝書に見る和歌の書式と表記」(『日本語学』44-3、2025年)、「近世以前の句読法について――中世能楽資料に見る差点実態の分析を通じて」(『日本漢字學會報』(7)、2025年)、「古今和歌集古写本に見る漢字表記――持明院流入木道伝書『勅撰之法』を手がかりに」(『書学書道史研究』(33)、2023年)などがある。

安本真也(やすもと・しんや)
1987年生まれ。東京大学大学院情報学環講師。
専門は、社会心理学、メディアコミュニケーション論。
主な著書・論文に『災害と映像――防災ドラマは社会を救えるのか』(有斐閣、2026年)、「原子力発電所事故後の福島県産品に対する評価基準と地域メディア」(『ふくしま原子力災害からの複線型復興――一人ひとりの生活再建と「尊厳」の回復に向けて』(共著、ミネルヴァ書房、2019年)などがある。

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