日本文学史を書きかえる
いま、わたしたちが思い浮かべる「日本文学」「日本文学史」は、歴史上のあり方を、そして、その本質を正しく記述しているのだろうか。
「文学」そして「文」という概念を改めて問い直すとき、従来の見方では見落とされてきた広がりと多様性を持った世界が広がってくる。
和と漢、そして西洋が複雑に交錯する日本の知と文化の歴史の総体を、人びとの思考や社会形成と常に関わってきた「文」を柱として捉え返し、過去から現在、そして未来への展開を提示する。
第一冊では、西欧からの「文学(literature)」概念が導入される以前、特に古代から中世において、日本の「文」がいかなる環境のもとで、いかなる世界を形成していたかを描き出す。