ユメトヒョウショウ

夢と表象

眠りとこころの比較文化史
荒木浩 編
ISBN 978-4-585-29137-4 Cコード 3095
刊行年月 2017年1月 判型・製本 A5判・上製 592 頁
キーワード 文化史,社会学,民俗学,仏教,古典

定価:8,800円
(本体 8,000円) ポイント:240pt

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書籍の詳細
夢のカタチ、夢への思い

我々はなぜ夢を見るのか。この夢はいったい何を象徴しているのか。
「夢」をめぐる議論は洋の東西、そして時代を問わず、人びとの心を悩ませてきた。
睡眠の夢、ビジョンとしての夢、そして比喩としての夢―。
多様に存する「夢」は、いかなるかたちで、今日へと歴史を刻んできたのか。
そして、人びとはどのように夢の信仰と未来性に対峙してきたのだろうか。
日本そして世界の「夢」に関することばや解釈の歴史を包括的に分析、文学や美術さらには脳科学等の多角的な視点から、社会や時代との関わりを問い、夢をめぐる豊饒な文化体系を明らかにする。

 

 

目次
夢と未来―はじめにかえて

一、夢の歴史とことば
夢の「意味」の変遷 酒井紀美
夢の言語化 今野真二
平安時代における僧侶の“夢記”と夢―十~十二世紀を中心に 上野勝之
(コラム)夢と文学・夢という語彙―還暦の月日を跨いで 稲賀敬二・稲賀繁美

二、夢の表象―国際的視座から
日本の昔話における夢―タイプ・機能・現実との関係性 ペトコヴァ・ゲルガナ
ベトナムの漢文説話における「夢」とその資料について グエン・ティ・オワイン
『琱玉集』構成の研究―『琱玉集』略本「占夢」篇を手掛かりに 李育娟
日本・アラブ近代文学における〈夢〉の比較研究―夏目漱石とナギーブ・マフフーズを中心に ワーイル・アブドエルマクスード
(コラム)アラブ世界の夢文化とナギーブ・マフフーズの夢文学 福田義昭

三、可視化される夢
 三―一、夢を観る/夢を聴く―夢と西洋文化―
 記憶の中のイェルサレム―初期近代西欧の聖都表象と夢・幻視・想像力 桑木野幸司
 夢と音楽―リゲティの『アパリシオン』を中心に 伊東信宏

 三―二、描かれた夢―日本の文学と美術から
 夢の位相、現実の位相―日本絵画における夢の表現の類型とその史的展開 三戸信惠
 夢の構図―絵巻の文法からのアプローチ 楊暁捷
 お伽草子における過去世の夢告 箕浦尚美

 三―三、夢と科学
 夢を見ている脳を見る―Seeing a dreaming brain 宮内哲
 (コラム)夢の神秘性はいかにつくられるか 福田一彦
 (コラム)脳の信号から夢を可視化する 神谷之康

四、日本中世の夢・特論―明恵『夢記』をめぐって
明恵上人夢記研究の現況と課題 奥田勲
明恵『夢記』は夢の記録以上の何物であるのか? 前川健一
明恵「夢記」研究の地平―基礎資料の一覧を起点として 平野多恵
明恵『夢記』におけるモチーフについて―「生身」のモノ 立木宏哉
日本語史研究資料としての『明恵上人夢記』の可能性 山本真吾
(コラム)明恵『夢記』の決定版に関する感想―夢想体験分類の試み フレデリック・ジラール

五、夢と社会―その諸相
失われた夢―西洋における睡眠の変質 ロジャー・イーカーチ(玉田沙織訳)
(コラム)夢・まぼろし・ウツツ―幸福の寝言 マルクス・リュッターマン
夢と自照―古代仏教の言説と対外観をめぐって 荒木浩
(コラム)権力と夢 木村朗子

六、夢と近代文化
落語における夢 佐藤至子
南方熊楠の立っていた場所―〈夢〉という「通路」 唐澤太輔
泉鏡花の夢と眠り―『春昼』とその前後の作品から 宮内淳子

おわりに
執筆者一覧
プロフィール

荒木浩(あらき・ひろし)
1959年生まれ。国際日本文化研究センター教授・総合研究大学院大学教授。
専門は古代・中世文学。
著書に『日本文学 二重の顔―〈成る〉ことの詩学へ』(大阪大学出版会、2007年)、『かくして「源氏物語」が誕生する―物語が流動する現場にどう立ち会うか』(笠間書院、2014年)、『徒然草への途―中世びとの心とことば』(勉誠出版、2016年)などがある。

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