コウエキタイ ヨウカイフキュウシ

広益体 妖怪普及史

伊藤慎吾・氷厘亭氷泉・式水下流・永島大輝・幕張本郷猛・御田鍬・毛利恵太 著
ISBN 978-4-585-32040-1 Cコード 0021
刊行年月 2024年7月 判型・製本 A5判・並製 504 頁
キーワード 文化史,妖怪,民俗学

定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細

現代一般に認識されている妖怪のイメージはいつどのように形成され、どのように普及してきたのか。
それは自然の流れだったのか、恣意的なものだったのか。
妖怪を探し出した「研究者と妖怪」、それを普及させた「紹介者と妖怪」、そして新たに創作をしていく「創作者と妖怪」という3つの視点から、多角的に考察。
近年ブームとなっている妖怪本とは一線を画し、妖怪学のウラに潜む、「妖怪の情報」の流れを多彩な切り口で徹底追跡!!

2024年2月までに刊行された書籍から妖怪に関する1111冊を選定した「妖怪ブックガイド1111」も付す。
大好評『列伝体 妖怪学前史』(2021年刊行)に続く第2弾!!

◉小松和彦氏、推薦!◉==========================
妖怪は増殖・変容し続けている。それはなぜか? その蔭に、妖怪に心ひかれる、研究者・紹介者・創作者の絶え間ない活躍があるからだ。変貌して止まない妖怪文化の「普及」の担い手である彼らは、じつは妖怪の「親」たちでもであった。相互に関連する彼らの複雑で奥深い思索の足跡を、妖怪に寄り添いつつ、優しくしかも冷静な眼差しで解き明かした本書は、妖怪研究が新しい段階に入ったことを告げる、妖怪関係者必読の書である。
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目次
総説◉妖怪普及史のむこうづけ◉氷厘亭氷泉

第一部 研究者と妖怪
総論 研究者が妖怪を普及させた ザシキワラシ普及史◉永島大輝
集古会系同好会の記録―趣味人たちの妖怪普及ネットワーク◉毛利恵太
折口信夫―晦渋な妖怪観◉伊藤慎吾
井之口章次―柳田・折口の学問を推進し後学を育てた◉永島大輝
南島の妖怪偉人たち―地方における妖怪普及史の一例◉御田鍬
妖怪フレーズは普及する。―いわゆる伝播伝承の問題◉永島大輝
[COLUMN]崇徳院と魔王、妖鬼と中瑞雲斎◉氷厘亭氷泉
国文学史にみる妖怪研究―好事家的な関心対象から古典文学研究へ◉伊藤慎吾
百鬼夜行絵巻の七面鳥?―小松茂美・眞保亨の美術での絵巻物の妖怪説明◉氷厘亭氷泉
[COLUMN]妖怪を通した昔話研究への再注目◉御田鍬
器物ではなく魔物な付喪神―中世から維新にかけての悪魔や魔王や蓮っ耳◉氷厘亭氷泉
妖精としての天狗―神仙道や自然霊の世界観での天狗=妖精◉氷厘亭氷泉

第二部 紹介者と妖怪
総論 妖怪普及活動の明暗 白峯相模坊を例に◉毛利恵太
ちりめん本―欧州諸国に翻訳された日本の妖怪◉伊藤慎吾
妖怪普及者ハーン―訪日者たちが見たストレンジ・シングス◉毛利恵太
民話の本―むかしむかし、日本に民話ブームがありました◉永島大輝
九千坊と獏斎坊の故郷―河童が砂漠から来た話とモノシリ佐藤垢石◉氷厘亭氷泉
物語られた隠神刑部―その栄枯転変◉毛利恵太
小学館の学年誌―児童文化の金字塔◉幕張本郷猛
大伴昌司―妖怪も解剖した怪獣博士◉式水下流
少女雑誌における幽霊妖怪―「こわい記事」の歴史◉幕張本郷猛
[COLUMN]怪物画本の新聞広告◉氷厘亭氷泉
妖怪解説の種―藤澤衛彦フォロワーを中心に◉式水下流
ぬらりひょん変遷史―ゼロから生まれた無限の解説◉御田鍬
妖怪図鑑と濱田増治―商業美術の樹立者は妖怪リデザインのご先祖◉氷厘亭氷泉
学研の学年誌―少年少女オカルトの巨大惑星◉幕張本郷猛
妖怪に見たる科学―おばけの正体に触れる◉式水下流
旺文社の学年誌における幽霊妖怪記事―学研と競った総合誌で健闘◉幕張本郷猛
妖怪事典編纂履歴―舟を編み上げた人々◉毛利恵太
青年誌・一般週刊誌における妖怪関連記事の歴史
―よく言えば日本風俗史の生き証人だが◉幕張本郷猛
「予言獣」とその周辺の人々―収集家から研究者まで◉御田鍬
三大女性週刊誌における妖怪関連記事―怖けりゃなんでもあり◉幕張本郷猛
「現代怪異」―学校の怪談からネットロアまで◉永島大輝
その他女性誌における妖怪関連記事―口裂け女協奏曲◉幕張本郷猛
展示される画像妖怪たち―博物館・美術館での妖怪展示の流れと傾向◉氷厘亭氷泉

第三部 創作者と妖怪
総論 妖怪は創られる 水木しげるとがしゃどくろから見る変遷◉式水下流
異魔話武可誌のおかんじょろ―勝川春英の妖怪たちの普及格差in江戸◉氷厘亭氷泉
玩具に見えたる妖怪―集める・飾る・遊ぶ◉式水下流
児童書・絵本のお化け妖怪―子供たちの妖怪ファースト・コンタクト◉毛利恵太
妖怪の世界へゆく学習まんが―佐藤有文・斎藤浩美らの学習漫画の様式◉氷厘亭氷泉
妖怪漫画の生存戦略―その需要と変遷◉式水下流
高橋留美子―SFと妖怪が混在する独自の世界観◉伊藤慎吾
初期水木しげるの妖怪画受容―鳥山石燕・狩野派を中心に◉御田鍬
[COLUMN]水木しげる影響の識別子◉式水下流
岡本綺堂―妖を妖とし、怪を怪と◉伊藤慎吾
妖怪小説の誕生―妖怪資料の参考と拡充◉式水下流
ライトノベルの妖怪―東西モンスターの共生◉伊藤慎吾
ネット生まれの妖怪たち―鱗舐・コタヒ・空亡◉御田鍬
[COLUMN]『別冊空亡』のための同人誌目録◉式水下流・氷厘亭氷泉

項目柱に用いた肖像・図版・活字の出典
あとがき
執筆者一覧
妖怪ブックガイド1111
索引(人名/作品名/事項名)
プロフィール

伊藤慎吾(いとう・しんご)
埼玉県生まれ。日本文学研究者。國學院大學栃木短期大学・教授。お伽草子や擬人化、南方熊楠の研究を主に行っている。主な著書に『南方熊楠と日本文学』(勉誠出版)、『中世物語資料と近世社会』(三弥井書店)、『擬人化と異類合戦の文芸史』(同)、『「もしも」の図鑑 ドラゴンの飼い方』(実業之日本社)、編著・共著に『お伽草子超入門』(勉誠出版)、『怪人熊楠、妖怪を語る』(三弥井書店)、『〈生ける屍〉の表象文化史』(青土社)など。異類の会主宰。

氷厘亭氷泉(こおりんてい・ひょーせん)
千葉県生まれ。イラストレーター。幕末から明治にかけての錦絵・絵草紙・戯文がおもな研究領域。妖怪に関する活動は、『和漢百魅缶』や『妖界東西新聞』にて日刊で作品公開をしているほか、画像妖怪についての研究周知をイベントなどを通じ行っている。2007年、角川書店『怪』大賞受賞。2012年からはウェブサイト『妖怪仝友会』にて伝承・画像・佃承各要素の妖怪をあつかう鬼質学誌『大佐用』を月2回(13・29日)公開中。著書に『日本怪異妖怪事典 関東』(笠間書院)、『列伝体 妖怪学前史』(勉誠出版)、共同執筆論文に「マンボウ類の古文献の再調査から見付かった江戸時代におけるヤリマンボウの日本最古記録」(共同執筆・澤井悦郎)など。新・妖怪党、妖怪仝友会、山田の歴史を語る会同人。VTuber「蠱毒大佐」のキャラクターデザイナーでもある。

式水下流(しきみず・げる)
神奈川県生まれ。山田の歴史を語る会同人。お化け友の会会員。映像作品に登場する妖怪の情報収集と分析をライフワークにしている。あわせて、山田野理夫の妖怪に関する物語、漫画に描かれた妖怪、郷土玩具などの立体化された妖怪についての情報収集もしている。それらは、異類の会や同人誌や本書の関連書である『列伝体 妖怪学前史』で発表している。また、雑誌『怪と幽』では年に一度書評を執筆している。著書に『特撮に見えたる妖怪』(文学通信)。

永島大輝(ながしま・ひろき)
栃木県生まれ。専門は民俗学。下野民俗研究会、日本民俗学会会員。中学校で教員をしつつ、各地の民俗調査報告を異類の会などで行う。共著に『妖怪・憑依・擬人化の文化史』(笠間書院)、『列伝体妖怪学前史』(勉誠出版)、『怪異と遊ぶ』(青弓社)、主な論文に「栃木にみるコロナ禍の覚書」(『口承文芸研究』44)、「城郭と怪異譚:謡曲禁忌を中心に」(『群馬文化』345)など。

幕張本郷猛(まくはりほんごう・たけし)
北海道生まれ。在野の妖怪好き。かなり前から佐藤有文、中岡俊哉、斎藤守弘研究のために図書館での調査を開始し、現在も継続中。世界怪奇スリラー全集、世界怪奇シリーズ、ジャガーバックス、ドラゴンブックス至上主義者。『昭和・平成オカルト研究読本』(サイゾー)、『列伝体 妖怪学前史』(勉誠出版)で執筆。

御田鍬(みたすき)
広島県生まれ。妖怪が基礎資料から現代の妖怪事典・図鑑へと転載されていく中での記述の変遷と混濁を主な興味関心領域としている。大学時代からはサークル「うしみつのかね」名義で同人誌を中心に活動中。妖怪に関する現代の書籍やタイトルに妖怪と含まれる書籍の収集、また水木しげるが参考とした資料・図像などを探索し纏めた同人誌『水木絵のモトエ』の発行などを行っている。共著に『日本怪異妖怪事典 近畿』(笠間書院)。

毛利恵太(もうり・けいた)
神奈川県生まれ。妖怪数奇者。HN「こぐろう」及び個人サークル「松籟庵」として、X(旧Twitter)で妖怪紹介アカウント「瓶詰妖怪(@bottle_youkai)」を展開、妖怪蒐集系VTuber「蠱毒大佐」をプロデュース。共著に『妖怪・憑依・擬人化の文化史』『日本怪異妖怪事典 中部』(ともに笠間書院)、『列伝体 妖怪学前史』(勉誠出版)。単著に『日本怪異妖怪事典 四国』(笠間書院)、『明治の讀賣新聞における「化物会」の活動について』(同人誌)。また『暗黒神話TRPGサプリメント トレイル・オブ・クトゥルー・ジャパン』(グループSNE)に協力。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「下野新聞」(2024年8月4日)にて紹介されました。
「信濃毎日新聞」(2024年8月10日、13面)にて紹介されました。
「中部経済新聞」(2024年9月14日、 11面)にて紹介されました。
「愛媛新聞」(2024年9月15日、13面)にて紹介されました。

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