アジア遊学246
ワカンノコードトシゼンヒョウショウ

和漢のコードと自然表象

十六、七世紀の日本を中心に
島尾新・宇野瑞木・亀田和子 編
ISBN 978-4-585-22712-0 Cコード 1371
刊行年月 2020年4月 判型・製本 A5判・並製 272 頁
キーワード 美術,文化史,古典,近世,中世,中古,上代

定価:3,080円
(本体 2,800円) ポイント:84pt

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書籍の詳細
自然なるものはどのように理解され、あらわされ、再生産されてきたのか―

前近代の日本において、和漢の文化体系は、各時代ごとの変容・刷新を経つつも、思考・感性の基盤として通奏低音のごとく響き続けた。
特に漢文化は先例としての規範性から大きな影響を有し、和文化のなかで融合・内在化・再解釈されていった。
それは、人びとが、自らを取りまく環境、自然をどのように感じ、捉え、表象したのか、ということにも強く作用した。
列島における社会構造的・環境的転換期である十六~七世紀に着目し、文学、美術、芸能、歴史学等、分野横断的な視角から、自然と人との関係を問い直す。

 

 

目次
序 島尾新
総論 宇野瑞木

◉ Ⅰ 「内在化」のかたち
室町時代における「漢」の「自然表象」 島尾新
二十四孝図と四季表象―大舜図の「耕春」を中心に 宇野瑞木
日光東照宮の人物彫刻と中国故事 入口敦志
「環境」としての中国絵画コレクション―「夏秋冬山水図」(金地院、久遠寺)におけるテキストの不在と自然観の相互作用
塚本麿充
江戸狩野派における雪舟山水画様式の伝播―狩野探幽「雪舟山水図巻」について 野田麻美
四天王寺絵堂《聖徳太子絵伝》の画中に潜む曲水宴図 亀田和子
モノと知識の集散―十六世紀から十七世紀へ 堀川貴司

◉Ⅱ コード化された自然
「九相詩絵巻」の自然表象―死体をめぐる漢詩と和歌 山本聡美
『源氏物語』幻巻の四季と浦島伝説―亀比売としての紫の上 永井久美子
名所としての「都」―歌枕の再編と絵画化をめぐって 井戸美里
十七世紀の語り物にみえる自然表象―道行とその絵画を手がかり 粂汐里
寛政期の京都近郊臥遊 マシュー・マッケルウェイ

◉Ⅲ 人ならざるものとの交感
人ならざるものとの交感 黒田智
金春禅竹と自然表象 高橋悠介
「人臭い」話  資料稿―『天稚彦草子』の解析に向けて 徳田和夫
お伽草子擬人物における異類と人間との関係性―相互不干渉の不文律をめぐって 伊藤慎吾
室町物語と玄宗皇帝絵―『付喪神絵巻』を起点として  齋藤真麻理
エコクリティシズムと日本古典文学研究のあいだ―石牟礼道子の〈かたり〉から 山田悠介
プロフィール

島尾新(しまお・あらた)
学習院大学教授。専門は日本中世絵画史とくに水墨画史。
主な著書に『瓢鮎図―ひょうたんなまずのイコノロジー』(平凡社、1995年)、『和漢のさかいをまぎらかす』(淡交新書、2013年)、『水墨画入門』(岩波新書、2019年)などがある。

宇野瑞木(うの・みずき)
東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任研究員、鶴見大学非常勤講師。専門は東アジア説話文学、表象文化論。
主な著書・論文に『孝の風景―説話表象文化論序説』(勉誠出版、2016年)、「近世初期までの社寺建築空間における二十四孝図の展開―土佐神社本殿蟇股の彫刻を中心に」(小峯和明監修・出口久徳編『日本文学の展望を拓く 2』笠間書院、2017年)、「紫の上の乳くくめ考―仏教報恩思想との関わりから」(岡田貴憲・桜井宏徳・須藤圭編『ひらかれる源氏物語』勉誠出版、2017年)などがある。

亀田和子(かめだ・かずこ)
ハワイ大学ウェストオアフ校講師、立命館大学アートリサーチセンター客員研究員。専門は近世絵画史・視覚文化史。
主な著書・論文に『写しの力―創造と継承のマトリックス』(共編、思文閣出版、2014年)、Copying and Theoryin Edo Period Japan (1615-1868), Art History, Association of Art Historians,UK, 2014、「中山高陽の理論と粉本―蘭亭図巻を例として」(『美術フォーラム21』 第三十一号、醍醐書房、2015年)などがある。

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