テイコクイゴノヒトノイドウ

帝国以後の人の移動

ポストコロニアリズムとグローバリズムの交錯点
蘭信三 編著
ISBN 978-4-585-22061-9 Cコード 1020
刊行年月 2013年12月 判型・製本 A5判・上製 1000 頁
キーワード 戦争,アジア,世界史,日本史,近現代

定価:13,200円
(本体 12,000円) ポイント:360pt

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書籍の詳細

本書は、(一)引揚げや送還という帝国崩壊後の人の再移動を中心としながらも、それ以降の冷戦期の人の移動や残留あるいは定住、そしてグローバル期の人の移動までを射程に収めることとした。
また、(二)帝国拡大期における中心地と周辺をめぐっての移動とともに、帝国の周辺同士の移動の実態はどのようであったかにも関心を拡げた。
それに、(三)帝国内の人口移動と日本内地から北米・南米・アジアへの移民とどのように関連していたのか、(四)そのような人口移動を促進した移民政策や植民政策はどのように展開され、それぞれがどのように連関し、矛盾していたのかにも関心を拡げた。
さらに、(五)戦後の旧帝国圏において帝国形成に伴って移住した人びとが、戦後の引揚げ、残留、定着後の当該社会でどのように包摂されあるいは排除されていったのか課題ともした。
最後に、(六)二〇世紀の東アジアの近代化・帝国化のなかで、いわゆる日本人、朝鮮人、中国人、ロシア人などの東北アジア諸民族の人の移動をより大きな、総合的な視点からあきらかにすることを最終的な課題とした。

 

 

目次
はじめに 蘭信三
序 東アジアの帝国をめぐる人の移動 蘭信三・外村大・上田貴子

第Ⅰ部 帝国崩壊と人の再移動-引揚げ、定住あるいは残留
第1章 在中国朝鮮人の帰還 田中隆一
第2章 帝国崩壊後の中国東北をめぐる朝鮮人の移動と定住 花井みわ
第3章 朝鮮半島における日本人送還政策と実態 李淵植(翻訳:李洪章)
コラム1 北朝鮮からの引揚体験 山本千恵子
コラム2 「南朝鮮」からの引揚げ 熊谷佳子(編集:大場樹精)
第4章 サハリン先住民族ウイルタおよびニヴフの戦後・冷戦期の去就 田村将人
第5章 満洲引揚げにおける戦時性暴力 猪股祐介
研究ノート1 引揚援護活動と女性引揚者の沈黙 坪田=中西美貴
コラム3 満洲からの引揚体験 坂岡庸子(語り:溝口節)
第6章 沖縄における台湾引揚者の特徴 野入直美
第7章 沖縄出身南洋移民と家族の生活世界 森亜紀子
第8章 アルキ、あるいは見知らぬ祖国への帰還 松浦雄介
研究ノート2 厄介な恋愛と不都合な再会 エヴェリナ・ブッハイム(翻訳:今野裕子)

第Ⅱ部 戦後体制と人の移動
第9章 在日朝鮮人の戦後と私 金静媛
第10章 アメリカ占領期における「密航」朝鮮人の取締と植民地主義の継続 福本拓
第11章 中華人民共和国の建国と「中国朝鮮族」の創出 李海燕
研究ノート3 北方民族オロチョン社会における植民地秩序の崩壊と再編 坂部晶子
第12章 戦後農地改革のトランスナショナル・ヒストリー 安岡健一
研究ノート4 戦後南米日系移民社会と戦後移住に関する研究史 大場樹精
第13章 高度経済成長期後半の日本における外国人労働者問題 外村大
第14章 戦後における台湾から「琉球」への技術導入事業について 八尾祥平
研究ノート5 戦後台湾をめぐるひとの移動の研究史 坪田=中西美貴
第15章 フィリピン引揚者の「ダバオ体験」 飯島真里子

第Ⅲ部 ポスト植民地主義とグローバリズムの交錯点
第16章 サハリン残留日本人 中山大将
第17章 〈異国〉を〈祖国〉として 張嵐
研究ノート6 中国にルーツを持つ子どもたちへの中国語教育 高橋朋子
コラム4 不条理な世界を生き抜く 大久保明男
第18章 台湾における日本統治期の遺構の保存と再生 松田ヒロ子
第19章 日本語教育のトランスナショナル化 木下昭
第20章 インドネシア日系人の歴史と現在 林英一
第21章 日本人移民の子孫と国際婚外子 高畑幸
おわりに 外村大
プロフィール

蘭信三(あららぎ・しんぞう)
上智大学外国語学部教授。専門は国際社会学・歴史社会学。
主著に『中国残留日本人という経験』(編著、勉誠出版、2009年)、『日本帝国をめぐる人口移動の国際社会学』(編著、不二出版、2008年)など。

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