ワカヲヨミトク ワカヲツタエル

和歌を読み解く 和歌を伝える

堂上の古典学と古今伝受
海野圭介 著
ISBN 978-4-585-29176-3 Cコード 3095
刊行年月 2019年2月 判型・製本 A5判・上製 672 頁
キーワード 和歌,古典,江戸,室町,平安,中世,中古

定価:12,100円
(本体 11,000円) ポイント:330pt

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書籍の詳細
古典継承の史的展開を探る―

平安期に成立した『古今和歌集』『伊勢物語』『源氏物語』などの作品は、文学的素養を支えるのみならず、行動規範としての教訓性や倫理性を示す「古典」として、とくに堂上と称された公家たちの知的基盤の形成に大きな影響を与えた。
なかでも『古今集』に関する秘説の伝受は「古今伝受」と称され、王朝古典をめぐる様々な学問の頂点に据えられることとなった―。
物語や和歌に関する注釈や講釈が盛んにおこなわれ、伝受の形式が整備されていった室町期から江戸初期にかけての学問形成の過程とその内実を、諸資料の博捜により考察。
古典を読み解き、その知識を再構築すること、それらを秘して、伝え、残していくこと―中近世移行期の「知」のダイナミズムをささえたこれらの行為の史的意義を明らかにする。

 

 

目次
目 次

序 文 大阪大学名誉教授 元国文学研究資料館館長 伊井春樹
凡 例

はじめに―注釈と伝受の時代

第一部 和歌を読み解く―古典講釈の輪郭
 第一章 幽玄に読みなす物語―『肖聞抄』における『伊勢物語』の読み解きをめぐって
  はじめに
  一 幽玄に読みなす物語
  二 下の心の導く理解
  三 深く思ひ入りて見るあはれ、よく工夫して思ふべき余情
  四 教誡の端としての和歌
  おわりに
 第二章 わが身を卑下する人々の本性―三条西家流古典学の読み解く王朝の物語
  はじめに
  一 三条西家流講釈の描く光源氏像、源氏物語像
  二 在原業平の本性と伊勢物語講釈
  三 源氏物語講釈の中の歌道
  四 室町後期歌学の志向と三条西家古典学
  おわりに
 第三章 海人の刈る藻に住む虫の寓意―『当流切紙』所収「一虫」「虫之口伝」の説く心のあり様
  一 『伊勢物語』の虚実と宗祇―三条西家流古典学
  二 「海人の刈る藻にすむ虫」の寓意
  三 「一虫」、「虫之口伝」の切紙とその理路
  四 「正直」の集としての『古今集』
 第四章 抄と講釈―古典講釈における「義理」「得心」をめぐって
  一 抄と講釈
  二 義理と得心
  三 義理をつける
 附章 室町の和歌を読む―『管見集』の読み解く『一人三臣』時代の和歌
  はじめに
  一 『一人三臣』の時代
  二 『管見集』と室町和歌の理解
  三 言葉の外の情を表現する
  四 恋の思いの深さを伝える
  五 作意の在処
  六 歌の風情とは何か
  おわりに

第二部 和歌を伝える―古今伝受の伝書・儀礼・空間
 第一章 始発期の三条西家古典学と実隆―『実隆公記』に見える『古今集』の講釈と伝受
  一 古今を習う実隆
  二 宗祇の講釈と実隆説の継承
  三 切紙の相伝
  四 古今聞書の櫃を納める
  五 宗祇没後の実隆
 第二章 吉田神道と古今伝受―『八雲神詠伝』の相伝を中心に
  一 『八雲神詠伝』をめぐる宗祇と吉田兼倶
  二 『八雲神詠伝』と古今伝受切紙
  三 後陽成天皇への『八雲神詠伝』の相伝
  四 桜町天皇への『八雲神詠伝』の相伝
  五 冷泉為村への『八雲神詠伝』の相伝
  六 吉田家説の相伝と『八雲神詠伝』
 第三章 細川幽斎と古今伝受―相伝文書の形成をめぐって
  一 関ヶ原の戦と幽斎
  二 三条西家の古今伝受と幽斎
  三 幽斎相伝の古今伝受とその資料
  四 古今伝受の座の荘厳
  五 御所伝受と幽斎
 第四章 古今伝受の空間と儀礼
  一 和歌の詠まれる空間
  二 人丸影への祈願と起請
  三 和歌の秘伝と伝受儀礼
  四 藤沢山無量光院清浄光寺における古今伝受
  五 曼殊院宮良恕親王の古今伝受
  六 御所伝受の座敷
  七 イメージとしての君臣の和へ

第三部 歌の道をかたちづくる―御所伝受の形成と展開
 第一章 確立期の御所伝受と和歌の家―幽斎相伝の典籍類の伝領と禁裏古今伝受資料の作成
  はじめに
  一 宗祇―三条西家流古今伝受の系譜
  二 三条西家から禁裏・仙洞へ
  三 智仁親王伝領の八条宮家古今伝受一具の行方
  四 烏丸家伝来古今伝受一具と禁裏相伝の伝受箱の作成
  五 和歌の家と禁裏・仙洞
  おわりに
 第二章 古今集後水尾院御抄の成立―明暦三年の聞書から後水尾院御抄へ
  はじめに
  一 明暦三年の後水尾院による古今集講釈とその聞書
  二 講釈の進行と聞書の浄書
  三 道晃親王書入本伝心抄と道晃親王聞書
  四 聞書から御抄へ
  おわりに
 第三章 後水尾院の古今伝受―寛文四年の相伝を中心に
  はじめに
  一 古今伝受の所望
  二 三十首和歌の添削
  三 中院家・烏丸家伝来の古今伝受箱の進上
  四 三条西家・近衞家文書の進上
  五 日時勘文
  六 古今集講釈
  七 聞書の浄書
  八 切紙伝受
  九 不審条々の進上
  十 目録の作成、証明状の下賜
  おわりに
 第四章 古今伝受切紙と口伝―後水尾院による切紙の読み解きをめぐって
  一 古今伝受切紙と寓意
  二 切紙と口伝と
  三 後水尾院の古今集講釈における口伝
  四 口伝と「工夫」「自得」「悟入」
 第五章 古今伝受後の後西院による目録の作成
       附 東山御文庫蔵『古今集相伝之箱入目録』『追加』略注
  はじめに
  一 『古今集相伝之箱入目録』『追加』について
  二 後西院による典籍の書写と八条宮家本―『伝心抄』をめぐって
  三 後西院による文書類の書写と烏丸家本―切紙類をめぐって
  四 『古今集相伝之箱入目録』『追加』の記載をめぐって
  おわりに
  附 『古今集相伝之箱入目録』『追加』略注
 第六章 霊元院の古今集講釈とその聞書―正徳四年の古今伝受を中心に
  はじめに
  一 正徳四年の古今伝受
  二 講釈聞書
  三 当座聞書から中書本へ
  四 霊元院説を伝える諸抄集成
  五 霊元院宸翰『古今集序注』二本、及び歌注の相互関係
  六 宝永二年の中院通茂による講釈、正徳四年の霊元院による講釈と諸抄集成との関係
  七 先行諸抄との関係、「私」説の輪郭
  おわりに
 第七章 中院家旧蔵古今集注釈関連資料―中院通茂・中院通躬・野宮定基との関わりを持つ典籍を中心に
  はじめに
  一 中院の世系
  二 中院文庫所蔵の古今集注釈関連資料
  三 中院通茂相伝の典籍・文書類と寛文四年の古今伝受の講釈聞書
  四 中院通茂による古注釈書の収集と諸注集成の作成
  五 中院通躬の聞書
  六 野宮定基の聞書とその書写活動
  おわりに

第四部 歌の道と心のありよう―古典学の思索とその行方
 第一章 堂上の諸抄集成―霊元院周辺の和歌注釈とその意図
  一 諸抄集成の時代
  二 室町時代末~江戸時代前期の堂上の学問と先行諸抄
  三 中院文庫本『古今和歌集注』とその注説
  四 諸抄の説と「おもしろき」義
 第二章 堂上聞書の中の源氏物語―後水尾院・霊元院周辺を中心として
  はじめに
  一 人情と教誡と
  二 源氏物語から和歌へ
  三 源氏物語の講釈と和歌の上達
  四 文字読みの射程
  おわりに
 第三章 儒学と堂上古典学の邂逅―『源氏外伝』の説く『源氏物語』理解を端緒として
  はじめに
  一 熊沢蕃山の『源氏物語』理解と本居宣長の批判
  二 物語の描く「人情」とその輪郭
  三 江戸時代中期の堂上歌学と儒学
  おわりに
 おわりに

資料篇
 東山御文庫蔵『古今伝授御日記』『古今集講義陪聴御日記』解題・翻刻
  一 書誌・伝来
  二 記主
  三 記載内容
  翻刻 東山御文庫蔵『古今伝授御日記』(勅封六二・一一・一・一・一)
  翻刻 東山御文庫蔵『古今集講義陪聴御日記』(勅封六二・一一・一・一・二)

 京都大学附属図書館蔵中院文庫本『古今伝受日記』解題・翻刻
  一 伝来・書誌
  二 記主
  三 記載内容
  翻刻 京都大学附属図書館蔵中院文庫本『古今伝受日記』(中院・Ⅵ・五九)

英文論考 A History of Readings: Medieval Interpretations of the Kokin wakashū
  1. Towards a History of Readings
  2. The Kokin wakashū as Allegorical Literature
  3. The Heart of Waka Poetry and Neo-Confucianism
  4. Waka as the Study of Self-Discipline
  5. Readings’ Ends

あとがき
初出一覧
図版一覧
索 引
プロフィール

海野圭介(うんの・けいすけ)
1969年、静岡県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)大阪大学。大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国文学研究資料館・准教授、総合研究大学院大学・准教授(併任)。日本学術振興会特別研究員、大阪大学大学院文学研究科助手、ノートルダム清心女子大学文学部准教授を経て現職。専門は、和歌文学、書誌学。
主要著書に国立歴史民俗博物館編『国立歴史民俗博物館資料目録8-1高松宮家伝来禁裏本目録 分類目録編』(国立歴史民俗博物館、2009年)、同『同8-]同 奥書刊記集成・解説編』(同)、後藤昭雄 監修・赤尾栄慶・宇都宮啓吾・海野圭介編『天野山金剛寺善本叢刊 第2期第5巻 重書』(勉誠出版、2018年)などがある。

その他

★広告情報
「朝日新聞」(2019年3月9日)に5段12割広告を掲載しました。

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