生命科学と現代社会
ウミノショクリョウシゲンノカガク

海の食料資源の科学

持続可能な発展にむけて
佐藤洋一郎・石川智士・黒倉寿 編集
ISBN 978-4-585-24301-4 Cコード 3040
刊行年月 2019年10月 判型・製本 四六判・上製 280 頁
キーワード 環境,現代社会

定価:3,740円
(本体 3,400円) ポイント:102pt

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書籍の詳細

マグロ・クジラ・サンマ……、魚は食べ続けられるのか?

最近、海の資源をめぐって世界が騒がしい。
昨年、2018年は数年ぶりにサンマが豊漁であった。しかし、一転して2019年は記録的な不漁が伝えられている。五、六年前まではサンマは資源に余裕のある種のひとつであった。それが、中国をはじめとするアジア各国でサンマが食べられるようになり、外国漁船が大量に漁獲するために不漁になったと説明されてきた。しかし、昨年、今年とそのような状況が変わったわけではない。
「サンマは謎の多い魚」というのが最近の説明である。しかし、身近なサンマですら謎が多いとすれば、われわれ日本人は、どの位普段利用している水産資源について知っているのだろうか?また、現在の科学的知識はどの位水産資源の持続的利用に役立つのだろうか?
海の資源喪失の元凶がいわゆる獲りすぎ(乱獲)にあるという考え方が広く普及している。獲りすぎが資源に悪影響を与えることは確かであろうが、すべての海洋生物の資源減少が獲りすぎであるとするのは、現代科学から見れば常識からずれている。個体数を把握することさえ難しい海の生物を、陸の生物と同じように考えるのは無理があるし、一回の産卵で数千から数万の卵が生まれる種では、産卵場や生育場の環境変動が資源悪化の大きな要因になる。
本書は、マグロやクジラ、サンマなどの不確実で変動する海の資源を管理するという具体的な問題をテーマに、経済、国際交渉、地域、文化といったさまざまな価値観の中での科学=「不確実性の中の科学」を、日本発の考え方である「つくる漁業(栽培漁業)」の実例とともに考察していく。
さまざまな海の資源がその生態学的特徴と生まれ育つ環境の変化によって影響を受けることを考えると、本書の「人類は海洋資源を制覇できるか?」という問いは、科学技術の利用によって人類活動が地球全体のシステムまで変えてしまうようになった現代においては、「人類は生き残れるのか?」と裏腹の関係にあるように思える。

 

 

目次
はじめに―生命科学と現代社会
序論 海の資源の持続的利用を考えるために 石川智士

[第1部]
座談会1 不確実性の中での資源保護の将来像と科学のあり方 黒倉寿・石川智士・佐藤洋一郎
第一章 マグロ資源管理について考える 森下丈二 
第二章 捕鯨の思想を探る―論争を読み解く 秋道智彌 
第三章 震災復興とエリアケイパビリティー 黒倉寿 

[第2部]
第四章 「つくる漁業」と食料安全保障 石川智士・伏見浩
第五章 水産物の流通消費と水産資源 八木信行
第六章 海洋における順応的管理とはなにか? 松田裕之
座談会2 海と陸の生物資源を考える 梅崎昌裕・横山智・石川智士・佐藤洋一郎
プロフィール

佐藤洋一郎(さとう・よういちろう)
京都府立大学教授、総合地球環境学研究所名誉教授。専門は植物遺伝学。
1952年生まれ。京都大学大学院農学研究科修了。
主な著書に、『森と田んぼの危機』(朝日新聞社、1999年)、『イネの歴史』(京都大学学術出版会、2008年)、『食の人類史』(中央公論新社、2016年)など。

石川智士(いしかわ・さとし)
東海大学海洋学部教授。専門分野は国際水産開発学、集団遺伝学。
1967年生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程後期修了。
主な著書に『地域と対話するサイエンス―エリアケイパビリティー論』(勉誠出版、2017年、共編)、『地域が生まれる、資源が育てる―エリアケイパビリティーの実践』(勉誠出版、2017年、共編)、『幡豆の海と人びと―Living and nature of coastal community in Higashi-Hazu』(総合地球環境学研究所、2016年、共編)など

黒倉寿(くろくら ひさし)
東京大学大学院農学生命科学研究科名誉教授。専門は水産海洋学。水産開発学
1950年生まれ、東京大学大学院(農・博)修了。
主な著書に、『水圏の放射能汚染―福島の水産業復興をめざして』(恒星社厚生閣、2015年、編)、「漁業の近現代史」(『水圏生物科学入門』恒星社厚生閣、2009年、共著)「水産学の立場からナマズを考える」(『ナマズの博覧誌』誠文堂新光社、2016年、共著)など。

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