アーネストサトウトゾウショノユクエ

アーネスト・サトウと蔵書の行方

『増補浮世絵類考』の来歴をめぐって
小山騰 著
ISBN 978-4-585-20078-9 Cコード 1000
刊行年月 2020年11月 判型・製本 四六判・上製 464 頁
キーワード アーカイブズ,図書館,出版,浮世絵,美術,日本史,近現代

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

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書籍の詳細
その「本」はどこから来て、どこへ行ったのか―

幕末・明治期、英国の外交官・日本研究者として活躍し、日本の古書収集家として傑出した人物であったアーネスト・サトウ。
そのサトウが収集したコレクションの中に浮世絵の研究、特に謎の浮世絵師「写楽」の考証にとって重要な資料である『増補浮世絵類考』が含まれていた。
作者の斎藤月岑の死後、サトウの所蔵をへて、ケンブリッジ大学図書館にたどり着くまでの期間、この本はどのような変遷をたどったのか。
写本として受け継がれた『浮世絵類考』の全般にかかわる問題にも言及しつつ、その謎を追う。

 

 

目次
はしがき―本題の〝まくら〟として、まず剣客と写本の話
人生と書物の交差
写本のこと 
剣術家 
藤川憲と藤川寬 
限られた情報からわかること 
献本の話 
藤川貞と藤川憲の著作および写本 
剣術と学問 
幕末・明治初期の剣士たち

序 章 
プロヴィナンスと〝ずれ〞の問題 
サトウの〝蔵書処分〞について 
写楽と『増補浮世絵類考』のことなど 
サトウ、アンダーソン、そして 
ゴンクールのこと 
第一章 『浮世絵類考』 
『浮世絵類考』の写本とは? 
『浮世絵類考』の成立 
『浮世絵類考』の変遷 
斎藤月岑のことなど 
『増補浮世絵類考』とその分析 
龍田舎秋錦編『新増補浮世絵類考』をめぐる事情 
本間耕曹の小伝から 
『新増補浮世絵類考』の本当の出版者は? 
アーネスト・ハートの日本美術についての講演 
『浮世絵類考』と林忠正のことなど 
龍田舎秋錦編『新増補浮世絵類考』以後の刊本など 
フランスに渡った『浮世絵類考』など 
柳亭種彦(高畠藍泉)編『増訂浮世絵類考』について 
林忠正と写楽、そして仕掛人X

第二章 『増補浮世絵類考』を入手した事情をさぐる 
サトウ旧蔵の『浮世絵類考』の写本 
四点の写本とは 
白石真道(サトウの図書係) 
白石千別 
宮本小一 
坂田諸遠 
蔵書家関根只誠のこと 
〝関根文庫〞からわかること 
月岑の日記から見る関根只誠と斎藤月岑 
只誠や月岑をめぐる思い出話 
四点の写本を他の蔵書家の蔵本と比較する 
関根只誠と坂田諸遠の蔵本 
蔵書家別・系統別による浮世絵類考の表 
『伊波伝毛の記』 
『浮世絵師之伝』 
『増補浮世絵類考』
『浮世絵考』 
『浮世絵考』の印記
『忍ふ艸』 
『玉川之図』 
サトウの蔵書目録に掲載の『玉川之図』や『忍ふ艸』など 
関根只誠旧蔵資料購入と〝スクリーニング〞の可能性について 

第三章 アーネスト・サトウの蔵書収集 
〝Outside the Ring〞(本屋業界の外)の人物から購入
白石真道・千別父子から購入 
輪池叢書と印記「白石所蔵」について 
白石真道の役割と漢和シソーラス(類語辞典) 
白石真道とサトウのローマ字表記 
フィリップ・ビュルティと知己になる 
ノルデンショルドの蔵書収集 
ビュルティ、サトウそしてアンダーソン 
アンダーソンの論文とローマ字表記 
共同で美術書を出版 
サトウとアンダーソンによる収集旅行 
サトウによる古版本の購入 
テオドール・デュレ 

第四章 サトウの蔵書の行方と蔵書目録 
サトウの蔵書の行方 
ケンブリッジ大学図書館所蔵の一五点のサトウ蔵書目録 
『茶色蔵書目録』 
『薄墨色蔵書目録』 
サトウの蔵書の流れを図示 
横浜開港資料館所蔵サトウ蔵書目録 
『蔵書目録』(D) 
『蔵書目録』(B)と『蔵書目録全』(C) 
その他の目録 
『蔵書目録全』(C)、『薄墨色蔵書目録』
そして『茶色蔵書目録』による美術書の考察 

第五章 アンダーソンとサトウ 
アンダーソンとサトウの動向 
アンダーソンの動き 
サトウの様子 
アンダーソンの『大英博物館所蔵日本中国絵画目録』に掲載された
『増補浮世絵類考』                      
『大英博物館所蔵日本中国絵画目録』の中の日本語文献 
六八点の収蔵年代別の分析 
日本語参考文献をサトウの蔵書目録を援用して考察
『大英博物館所蔵日本中国絵画目録』における『増補浮世絵類考』の利用 
『大英博物館所蔵日本中国絵画目録』の中の北斎 
アンダーソンによる写楽の評価 

終 章 
アンダーソンの死とサトウの浮世絵コレクション 
サトウの寄贈とケンブリッジ訪問 
『群書類従』の寄贈と新村出の閲覧 
ケンブリッジ大学の日本語教育・日本研究 
『近世文芸資料と考証』に翻刻出版された『増補浮世絵類考』 
マイクロフィルム、ケンブリッジ大学図書館の蔵書目録の刊行、
そしてディジタル化で一般公開へ              

あとがき 
参考文献一覧 
索引
プロフィール

小山騰(こやま・のぼる)
1948年愛知県生まれ。成城大学文芸学部卒業。慶應大学大学院修士課程(日本史)修了。ロンドン大学UCLでPG Dip(図書館・情報学)を取得。国会図書館勤務などを経て、1985年から2015年までケンブリッジ大学図書館日本部長。
主な編著書に、『日本の刺青と英国王室―明治期から第一次世界大戦まで』(藤原書店、2010年)、『ロンドン日本人村を作った男―謎の興行師タナカー・ブヒクロサン1839-94』(藤原書店、2015年)、『ケンブリッジ大学図書館所蔵アーネスト・サトウ関連蔵書目錄』(ゆまに書房、2016年)、『ケンブリッジ大学図書館と近代日本研究の歩み』(勉誠出版、2017年、第20回図書館サポートフォーラム賞受賞)、『戦争と図書館─英国近代日本語コレクションの歴史』(勉誠出版、2018年)などがある。

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