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院政期から室町期にかけての地域秩序の変容は、荘園制にどのような変化をもたらしたのか。人びとは、荘園制の成立・再編にいかに向き合ったのか。領主による徴税システム・統治体制の連続・断絶両面と地域偏差に目配りしつつ、播磨国矢野荘の荘官・名主たちの動向、国別田数帳簿の運用・性格の変化、地下文書作成・運用・保管、神仏体系の受容など、多角的な視点から再編前後の荘園制の実態に迫る。中世日本の社会構造を立体的に描き出すとともに、荘園史研究に新しい方向性を示した意欲作。
小川弘和(おがわ・ひろかず)1968年千葉県生まれ。1996年7月東北大学大学院文学研究科国史学国史専攻博士後期課程修了。博士(文学)。現在は熊本学園大学経済学部教授。専門は荘園制、九州地域史、史料論。主著に『古代・中世国家と領主支配』(吉川弘文館、1997年)、『中世的九州の形成』(高志書院、2016年)、『中世相良氏の展開と地域社会』(戎光祥出版、2020年。稲葉継陽と共編)がある