アジア遊学161
ギナルモノノシャテイ

「偽」なるものの「射程」

漢字文化圏の神仏とその周辺
千本英史 編
ISBN 978-4-585-22627-7 Cコード 1309
刊行年月 2013年3月 判型・製本 A5判・並製 272 頁
キーワード 文化史,民俗学,古典,アジア

定価:2,750円
(本体 2,500円) ポイント:75pt

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書籍の詳細
「偽」が見据えるものとは何か―

「正」と「偽」。古来、問われ続けてきた二項対立のかたちである。
しかし、「偽」はその二項対立の一極としてのみ存在するものではない。
偽書や偽文書などに見られる歴史像・世界像の生成には、その時代と環境との関係性を組み替え、再定立するダイナミズムを見出すことが出来る。「偽」なるものの捉える地平は、いかなる拡がりを持っているのだろうか。
本書では、特に日本・中国・韓国・ヴェトナムなど漢字文化圏における神仏に関わる文言に着目し、「偽」なるものが持つ力と可能性を論じる。

 

 

目次
「偽」なるものの「射程」―漢字文化圏の神仏とその周辺 千本英史

序章
偽書を取りまく「文化」の厚み―韓国の事例の一端から 千本英史

第一章 東アジア諸国の「偽」の世界
インド大乗仏教における偽書・擬託の問題─とくに龍樹の著作を中心にして 五島清隆
中国近代にとって「偽書」とは何か―「偽書」と「疑古」の二十世紀 谷口洋
神々との対峙―伝李公麟筆「九歌図」は何を訴えたか 楊暁捷
ベトナムにおける偽経と善書の流伝―仏道儒三教と民間信仰の交渉をめぐって 増尾伸一郎
漢字・字喃研究院所蔵文献における「偽書」―『嶺南摭怪』『介軒詩集』と碑文を中心に グェン・ティ・オワイン
べトナムの伝説・昔話に見える中国古典小説の翻案と仮託をめぐって 大西和彦
偽書と檀君神話―『揆園史話』を中心に 金英珠
韓国の予言書『鄭鑑録』と東アジアを駆けめぐった鄭経の朝鮮半島侵攻説 松本真輔
【コラム】洪吉童の実在説について 趙恩● 

第二章 日本における「偽」なるものの展開
偽書生成の源泉―『天台伝南岳心要』と多宝塔中釈迦直授をめぐって 山口眞琴
「若凡若聖偈」の形成と享受 伊藤聡
【コラム】愛王の曼荼羅―円珍請来〈愛王騎獅像〉をめぐって 小川豊生
【コラム】率川神社をめぐる言説の生成と変遷 向村九音
【コラム】中世の偽書と近代の偽書をつなぐもの―中世の古今註にみる人間臭い神の登場 藤原明
【コラム】「日本紀」の影 深沢徹
親鸞の実像を求めて―『高田親鸞聖人正統伝』はなぜ「偽書」と見破られなかったか 塩谷菊美
【コラム】親鸞の作った偽書 佐藤弘夫
モノによる物語の真実化―モノのエトキと〈伝説〉 久野俊彦
【コラム】平家が源氏に敗れた理由―「虎の巻」と浄瑠璃『鬼一法眼三略巻』 大谷節子
【コラム】真田幸村の軍扇 高橋圭一
【コラム】悩ましい講談師 旭堂南海
『征韓録』から『征韓武録』へ―読みかえられる泗川の戦いと狐出現の奇瑞 鈴木彰
鄭成功の「子どもたち」 樋口大祐

*●は「香+曷」
プロフィール

千本英史(ちもと・ひでし)
奈良女子大学教授。専門は中古中世国文学。説話、物語文学など。
著書に『験記文学の研究』(勉誠出版、1999年)、編著書に『日本古典偽書叢刊』全3巻(現代思想新社、2004~2005年)、論文に「新聞「日本」と南方熊楠―附・全集未収録論考「神前女子不脱帽一件」」(『南方熊楠とアジア』アジア遊学144、2011年8月)、「『今昔物語集』の「未来」」(『東アジアの今昔物語集―翻訳・変成・予言』勉誠出版、2012年)などがある。

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