ソウキスルテイコク

想起する帝国

ナチス・ドイツ「記憶」の文化史
溝井裕一・細川裕史・齊藤公輔 編
ISBN 978-4-585-22155-5 Cコード 1022
刊行年月 2017年1月 判型・製本 四六判・上製 320 頁
キーワード 世界史,近現代

定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細
ナチスの愛した記憶、文化の中のナチス―

ナチス・ドイツは、建築や言説、祝祭、シンボル、音楽、動物観など、様々な西洋文化を無節操に利用し、過去のイメージを想起させることで、自らの正統性を人びとに訴え、大衆操作を試みた。また現在では、ナチスやヒトラーのイメージが映画や小説で再生産され、様々な形で受容されている。
過去と現在、二つの視点から、ナチス・ドイツの文化政策と受容のあり方を探る。

 

 

目次
はじめに―第三帝国の記憶 溝井裕一

第1部 第三帝国における「過去」の利用とその「多様性」
1.古代の「記憶」を略奪せよ―ナチス時代の建築に秘められたプログラム 溝井裕一
2.「私は総統を信じます」―キリスト教を想起させ大衆をとりこんだナチスのことば
 細川裕史
3.絶滅動物復元計画―想起された「アーリア的自然」          溝井裕一

第2部 「記憶の場」としての祝祭をめぐる「過去」と「現在」
4.ナチス時代の祝祭―ニュルンベルク党大会を中心に          浜本隆志
5.集合的記憶としてのワーグナー―ヒトラーによる受容とその影響   北川千香子

第3部 「現代の大衆文化」におけるナチスの「記憶」
6.人間・ヒトラーの登場―『ヒトラー―最期の12日間』 齊藤公輔
7.月面に蟠踞するドイツ第四帝国のリアリティ―反ナチス映画としての『アイアン・スカイ』          森貴史
8.『帰ってきたヒトラー』―あるいは大衆文化に居つづけるヒトラー  細川裕史

おわりに                             細川裕史

コラム① 「集合的記憶」とは何か 
コラム② ヒトラーにとっての「歴史」と「記憶」 
コラム③ 「記憶」を巻きこむ歯車―ハーケンクロイツ 
コラム④ 消えるように設計された記念碑 
コラム⑤ 映画化される「ナチスへの抵抗」―あるいは「人としての良心」の記憶
プロフィール

溝井裕一(みぞい・ゆういち)
関西大学文学部准教授。博士(文学)。専門はドイツ民間伝承研究、西洋文化史、ひとと動物の関係史。
主な著書に、『ファウスト伝説―悪魔と魔法の西洋文化史―』(文理閣、 2009年)、『グリムと民間伝承』(編著、麻生出版、2013年)、『ヨーロッパ・ジェンダー文化論』(共編著、明石書店、2011年)、『動物園の文化史』(勉誠出版、2014年)、分担執筆に、 「ドイツの民間伝承における異界と異人」(大野寿子編『超域する異界』、勉誠出版、2013年)などがある。

細川裕史(ほそかわ・ひろふみ)
阪南大学経済学部准教授。Dr. phil.(キール大学)。専門は社会言語学、ドイツ語史。
主な著作に、"Zeitungssprache und Mündlichkeit. Soziopragmatische Untersuchungen zur Sprache in Zeitungen um 1850."(単著、Peter Lang、2014年)、『ドイツ奇人街道』(共著、関西大学出版部、2014年)、『役割語研究の展開』(分担執筆、くろしお出版、2011年)などがある。

齊藤公輔(さいとう・こうすけ)
中京大学国際教養学部准教授。博士(文学)。専門はドイツ語圏の文化科学・文化理論およびドイツ語教育。
主な論文に、「ホロコースト証言におけるユダヤ人像とドイツ人像の変化―集合的記憶の視点から―」(『マイノリティ研究』第8号、2013年3月)、「歴史を記憶の中に位置づける」(「ドイツ文学論攷」第51号、2010年3月)、「『ヒトラー―最期の12日間』の観察―集合的記憶論の視点から―」(『独逸文学』第53号、2009年3月)などがある。

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