アジア遊学205
センジシャンハイグレーゾーン

戦時上海グレーゾーン

溶融する「抵抗」と「協力」
堀井弘一郎・木田隆文 編
ISBN 978-4-585-22671-0 Cコード 1322
刊行年月 2017年2月 判型・製本 A5判・並製 240 頁
キーワード 中国,東アジア,近代

定価:2,640円
(本体 2,400円) ポイント:72pt

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書籍の詳細
民族・言語・宗教などが混淆するトポス場所の歴史と文化を探る

40を超える国の人びとが居住していた国際都市・上海は、1937年8月の侵攻によって、日本の占領下におかれた。それから終戦まで、日本人は、中国人は、世界各国から上海にたどり着いた人びとは、どのような政治的・文化的な空間に置かれたのか。
戦時期の上海を、人びとが出会い、交流し、接触する「場」=コンタクト・ゾーンとして捉え直し、敵/見方、支配/被支配、抵抗/協力といった二項対立によって色分けをすることのできない、複雑な関係のあり様を考察する。

 

 

目次
はじめに 「抵抗」と「協力」の溶けあう街 堀井弘一郎

Ⅰ 【政治・経済】〈抵抗〉と〈協力〉のダイナミクス
上海を統治する―汪兆銘政権の人々 関智英
戦時下における上海共同租界行政―工部局をめぐる日英の対立 藤田拓之
中支那振興株式会社とは何か―華中蚕糸公司を事例として 髙綱博文
日中戦争期の上海永安企業における企業保全 菊池敏夫
劉鴻生の戦時事業展開―社内人材と外部人脈 上井真
【コラム】朝鮮人コミュニティ 武井義和
【コラム】経済史の視点からみた戦時上海の「グレーゾーン」 今井就稔

Ⅱ 【社会・文化】日本統治下に生きる
日中戦争と洋食・洋菓子文化 岩間一弘
上海に生きた東亜同文書院生―上海日本人社会の一側面 広中一成
日本人居留民と東西本願寺 川邉雄大
上海の日中キリスト教ネットワーク―その交錯と相克 石川照子
【コラム】上海自然科学研究所と陶晶孫 鈴木将久
【コラム】上海画廊を通り抜けた画家たち 大橋毅彦
【コラム】内山完造と「大陸賞」 呂慧君

Ⅲ 【言論・メディア】戦時上海を語る〈声〉
中日文化協会上海分会と戦時上海の翻訳事業―武田泰淳「上海の螢」を手掛かりとして 木田隆文
川喜多長政と戦時上海・中国 妟妮
「親日」派華字紙『中華日報』の日本批判 堀井弘一郎
田村(佐藤)俊子から左俊芝へ、戦時下・上海『女声』における信箱―「私たち」の声のゆくえ 山﨑眞紀子
上海日僑管理処発行『導報』誌の中の日本人たち―内山完造・海野昇雄・林俊夫(三木七石) 渡邊ルリ
【コラム】戦時下上海の暗く寒い冬―阿部知二の中国滞在 竹松良明
【コラム】張愛玲と日本文化 邵迎建
プロフィール

堀井弘一郎(ほりい・こういちろう)
日本大学非常勤講師。専門は日中関係史。
主な著書に、『汪兆銘政権と新国民運動―動員される民衆』(創土社、2011年)、『「満州」』から集団連行された鉄道技術者たち―天水「留用」千日の記録』(創土社、2015年)、共著に、『戦時上海のメディア―文化的ポリティクスの視座から』(研文出版、2016年)などがある。

木田隆文(きだ・たかふみ)
奈良大学准教授。専門は日本近代文学。
主な論文に、「武田泰淳『中秋節の頃(上)』の周辺―日本統治下上海における邦人文学界の状況」(『日本近代文学』第85集、2011年11月)、「汪兆銘政権勢力下の日本語文学―詩人・池田克己の活動を通じて」(『戦間期東アジアの日本語文学』勉誠出版、2013年8月)、「日本統治下上海における文学的グレーゾーン―長江文学会/上海文学研究会の動向から」(『〈外地〉日本語文学への射程』双文社出版、2014年3月)などがある。

書評・関連書等

「中国研究月報」(2017年8月号)にて、本書の書評が掲載されました。(評者:山口早苗(東京大学大学院))

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