『沙石集』、『雑談集』などの説話 集編者として知られる無住道暁(むじゅうどうぎょう、1227~1312。鎌倉後期の臨済宗の僧)。
近年、無住の修学面に関する新資料が公になりその研究も大きく飛躍しているが、彼自身の人生を概観する書籍はない状況である。
無住が幼少期から遁世するまでに過ごした鎌倉、下野国、常陸国。 修学の地であった上野国、鎌倉、京、南都…。
本書では、無住の修学とその背景を彼の人生の流れに沿って見つめ直し、土地・環境、それを介した僧侶間ネットワークに着目し、無住の宗教者としての内実を読み解く。
同時に彼の鎌倉幕府や北条氏に対する関心の高さなど、政治的、歴史的背景も考察。
東国、尾張・伊勢、京・南都をキーワードに、各地における修学と社会的、宗教的、文化的環境の問題など様々な角度から、無住を再検討する。