平川祐弘決定版著作集5
セイオウノショウゲキトニホン

西欧の衝撃と日本

平川祐弘 著
ISBN 978-4-585-29405-4 Cコード 0095
刊行年月 2016年11月 判型・製本 A5判・上製 384 頁
キーワード 評論,世界史,日本史

定価:5,280円
(本体 4,800円) ポイント:144pt

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書籍の詳細
近代西洋の外圧に日本人はいかに苦闘し対応したか―
広角な視野に立つ人類文化史

「西洋史」「日本史」の枠を越えた二本足の学者平川祐弘の古典的名著

かつて日本帝国の部隊は守備領域を定め、マークス島、ウェーバー諸島などそれぞれを我が縄張りとして陣地を構築、攻撃に備えた。だが米国機動艦隊は南洋から一挙に北上、サイパンを奪取した。
その様もさながらに、旧帝大出身の学徒がMarx, Weber等について「研究」と称する蛸壺式塹壕を掘る間に、駒場出身のコンパラティスト第一期生の筆者は、複数言語をマスターするや知的機動性を発揮して、日本史・西洋史の枠を超え「西欧の衝撃と日本」という大問題に迫り、具体的な史実と人間を取り上げて鮮やかに叙述した。これは東西両洋の空間を飛翔する巨視的な学問的壮挙だが、文学作品としても真に面白い。察するに研究が丹念な微視的な原典味読、フランスでいうexplication de texteから出発しているからだろう。
著者が「見て、感じて、考える」の順を踏んでいるからこそ、読者も歴史的人物の人格に親しく触れることができるのである。

 

 

目次
1 イエズス会士や商人たち―膨脹するヨーロッパ
2 東西両洋の試験制度―勤勉の伝統と近代化の起動力
3 尊王攘夷と開国和親―明治維新と群集心理
4 幕末維新の渡航者たち―攘夷、親米、反米の心理
5 西と東のナショナリズム―明治日本の庶民の心
6 ロシヤにこだまする「黄禍論」―西洋帝国主義者のアジア観
7 乃木将軍と森鴎外―西欧化日本と和魂の行方
8 非西洋の近代化とその焦り―国民感情と国家理性
9 軍人の栄辱―日本における国家主義と国際協調主義
10 クローデルの天皇観―日本のこころを訪れる眼
あとがき―比較文化史的アプローチ
解説 仙北谷晃一
解説 芳賀徹
解説 大世界史の先駆者 山中由里子
著作集第5巻に寄せて―歴史学へのめざめ 平川祐弘
プロフィール

平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931(昭和6)年生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史家。第一高等学校一年を経て東京大学教養学部教養学科卒業。仏、独、英、伊に留学し、東京大学教養学部に勤務。1992年定年退官。その前後、北米、フランス、中国、台湾などでも教壇に立つ。
ダンテ『神曲』の翻訳で河出文化賞(1967年)、『小泉八雲―西洋脱出の夢』『東の橘 西のオレンジ』でサントリー学芸賞(1981年)、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞(1991年)、鷗外・漱石・諭吉などの明治日本の研究で明治村賞(1998年)、『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』で和辻哲郎文化賞(2005年)、『アーサー・ウェイリー―『源氏物語』の翻訳者』で日本エッセイスト・クラブ賞(2009年)、『西洋人の神道観―日本人のアイデンティティーを求めて』で蓮如賞(2015年)を受賞。
『ルネサンスの詩』『和魂洋才の系譜』以下の著書は本著作集に収録。他に翻訳として小泉八雲『心』『骨董・怪談』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』、英語で書かれた主著にJapan's Love-hate Relationship With The West(Global Oriental, 後にBrill)、またフランス語で書かれた著書にA la recherche de l'identité japonaise-le shintō interprété par les écrivains européens(L'Harmattan)などがある。

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