平川祐弘決定版著作集10
コイズミヤクモ

小泉八雲

西洋脱出の夢
平川祐弘 著
ISBN 978-4-585-29410-8 Cコード 0095
刊行年月 2017年5月 判型・製本 A5判・上製 392 頁
キーワード 伝記,思想,近代

定価:5,280円
(本体 4,800円) ポイント:144pt

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書籍の詳細
「信頼できる最大の批評家は読者である。それも日々の読者でなく、何代にもわたる読者である」ハーンの東大講義を引いて平川は結論する、「小泉八雲ことハーンを読者の今なお好しとしている」と。
日本人の心をとらえたハーンの魅力を鮮やかに蘇えらせた評伝

平川は小泉八雲ことハーンを論じて世界の第一人者で英仏でも研究書を出しているが、壮観は日本語の六冊(本著作集の第十巻から十五巻) だろう。読んで驚きに似た深い感動にとらわれたと一解説者は告白するが、学術作品がいずれも言語芸術作品に化している。
『新潮』誌上で第一作『小泉八雲―西洋脱出の夢』がハーンの五十四年の生涯をあらためて世に示した際、今は「物識り」の陰に隠されて古い「伝説のこころ」は見えなくなって了ったが、平川は面白い、と小林秀雄がいったと坂本忠雄編集長が述べている。読者も同感するのではあるまいか。

 

 

目次
第一章 小泉八雲の心の眼
ニューオーリーンズの朝
松江の朝
家庭のない人、ある人
「ヘルンさん言葉」
小泉八雲の家庭生活
ハーンとロティ
お地蔵様の微笑
恩に感ずる心
イヴトーの寄宿学校
君子の「無言の愛」
「コノ魚泣ク」

第二章 子供を捨てた父―ハーンの民話と漱石の『夢十夜』
二人の英文学教授
出雲の民話
『夢十夜』の第三夜
共通性と異質性
親の因果が子に報ゆ
子供を捨てたラフカディオの父
子供を捨てた金之助の父
あとがき

第三章 泉の乙女―ハーンの再話文学の秘密
帰って来た宣教師
ポリネシアの神話
『異文学遺聞』
民俗の伝承から文学の短篇へ
約束を守った女
夏の日の夢
ハーンの文学論講義
神話に感じる心

第四章 稲むらの火
日本国民の文化遺産
稲むらの火
ジャーナリズムへの関心
詩と真実
広村堤防
恩に感ずる心
激越なる感動

第五章 一異端児の霊の世界―来日以前と以後のハーン
ミシシッピー河の昼
ミシシッピー河の夜
波止場の牧歌
異人種に共感する心
God, Ghostそしてghosts
のっぺらぼう
自己の内なる恐怖
語り手と聴き手の主観
雪女
俗信への興味
最後のヴードゥー教徒
蟹売りの言葉
護国の霊
万物流転
『停車場にて』
詩と真実
父と子の関係
境界を越えること

第六章 草ひばりの歌―ハーンにおける民俗学と文学
日本行の計画書
民俗学と文学の間
ひどい宿、幸ふかい宿
民俗採訪の旅
旧世代を尊ぶ気持
人柱の噂
人形の墓
達磨の眼、ハーンの眼
チェンバレン、柳田、ハーン
暗々裡の感化
一身二生
草ひばり

原本新潮社版へのあとがき
講談社学術文庫版へのあとがき
講談社学術文庫版への解説 牧野陽子
ハーンにおけるヨーロッパ、アメリカ、日本―平川祐弘『小泉八雲―西洋脱出の夢』 亀井俊介
著作集第十巻に寄せて―読書について― 平川祐弘
プロフィール

平川祐弘(ひらかわ・すけひろ)
1931(昭和6)年生まれ。東京大学名誉教授。比較文化史家。第一高等学校一年を経て東京大学教養学部教養学科卒業。仏、独、英、伊に留学し、東京大学教養学部に勤務。1992年定年退官。その前後、北米、フランス、中国、台湾などでも教壇に立つ。
ダンテ『神曲』の翻訳で河出文化賞(1967年)、『小泉八雲―西洋脱出の夢』『東の橘 西のオレンジ』でサントリー学芸賞(1981年)、マンゾーニ『いいなづけ』の翻訳で読売文学賞(1991年)、鷗外・漱石・諭吉などの明治日本の研究で明治村賞(1998年)、『ラフカディオ・ハーン―植民地化・キリスト教化・文明開化』で和辻哲郎文化賞(2005年)、『アーサー・ウェイリー―『源氏物語』の翻訳者』で日本エッセイスト・クラブ賞(2009年)、『西洋人の神道観―日本人のアイデンティティーを求めて』で蓮如賞(2015年)を受賞。
『ルネサンスの詩』『和魂洋才の系譜』以下の著書は本著作集に収録。他に翻訳として小泉八雲『心』『骨董・怪談』、ボッカッチョ『デカメロン』、マンゾーニ『いいなづけ』、英語で書かれた主著にJapan's Love-hate Relationship With The West(Global Oriental, 後にBrill)、またフランス語で書かれた著書にA la recherche de l'identité japonaise-le shintō interprété par les écrivains européens(L'Harmattan)などがある。

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