タニザキジュンイチロウ ビトセイメイノアイダ

谷崎潤一郎 美と生命の間

柴田勝二 著
ISBN 978-4-585-39003-9 Cコード 3095
刊行年月 2021年7月 判型・製本 四六判・並製 368 頁
キーワード 評論,昭和,大正,近現代

定価:3,960円
(本体 3,600円) ポイント:108pt

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書籍の詳細

谷崎文学をつらぬくのは〈女性美〉への崇拝なのか?
『痴人の愛』『春琴抄』…華麗な物語世界を通して谷崎が描きたかったのはしたたかに生きぬく女たちの〈生きる力〉だった。
人間の生を衰弱させる近代という時代のなか、 耽美主義だけではない、新しい谷崎像を提示する。

 

 

目次
はじめに

第一部 見出される生命
Ⅰ章 生命としての美―停滞からの脱出
1 刷新される生
2 刺青の美学
3 フェティッシュとしての足
4 「美しい者」の内実
5 自然としての悪
6 生を閉塞させる状況
Ⅱ章 騒擾と闇の間―ちりばめられる遊戯性と『秘密』
1 〈遊び〉に向かう人びと
2 遊びの物質的条件
3 相対化される〈資本〉の力
4 〈闇〉と〈騒擾〉の隣接性
5 遊戯の終結
6 曼荼羅と〈母〉の否認
Ⅲ章 〈自然〉の牽引―『痴人の愛』『吉野葛』における魅惑の在り処
1 「別世界」への憧憬
2 「シンプル・ライフ」の矛盾
3 ナオミの野性と聖性
4 関西移住の意味
5 抵抗者たちの物語
6 変容する主題
7 自然と人為の融合

第二部 相対化される近代
Ⅰ章 異性愛への疑念―『蓼喰ふ虫』『卍』における性愛の形
1 恋愛と結婚のアイロニー
2 夫婦間の絆帯
3 〈型〉のない行動
4 同性愛による批判
5 「極端から極端」への運動性
6 大阪言葉の世界
Ⅱ章 〈手ざわり〉のなかの関係―〈盲目〉を描く世界
1 触覚による認識
2 触覚のなかの交わり
3 野性としての春琴
4 〈手探り〉の物語叙述
5 盲人の〈視点〉
6 再現される触感
7 松子との関係
Ⅲ章 溶け合う〈大阪〉と〈京都〉―『蘆刈』と日本文化への眼差し
1 関西への移動
2 〈京都的〉なものの意味
3 『蘆刈』の時空
4 お遊と松子の重なり
5 山崎の空間性
6 『陰翳礼讃』の美学

第三部 〈滅び〉に向きあって
Ⅰ章 〈病〉と〈戦争〉の時空―『細雪』の寓意的表象
1 〈書く時間〉と〈書かれる時間〉
2 〈文化的〉な病
3 「翳り」をはらんだ自然
4 連続する〈家〉と〈国〉
5 相乗する病と災害
6 〈戦後的〉世界の様相
Ⅱ章 失われ、連続するもの―〈母〉の表象と戦後社会
1 母への距離と親しさ
2 文化としての〈母〉
3 妻の喪失
4 失われた〈日本〉への思い
5 連続する〈二人の母〉
6 浮上する古代
Ⅲ章 老いに抗う性―『鍵』『瘋癲老人日記』と生命への希求
1 老いの在り処
2 エロティシズムへの逆行
3 〈子供化〉する老人
4 融合する〈母〉と〈女〉
5 踏みしめる女たち


あとがき
初出一覧
谷崎潤一郎年譜
プロフィール

柴田勝二(しばた・しょうじ)
1956年兵庫県生まれ。大阪大学大学院(芸術学)博士後期課程単位修得退学。大阪大学博士(文学)。東京外国語大学名誉教授。現在、梅光学院大学特任教授。思想・歴史への視座を取り込みつつ明治から現代にわたる近現代文学の研究・評論を幅広くおこなっている。
著書に『三島由紀夫 魅せられる精神』『〈作者〉をめぐる冒険』『漱石のなかの〈帝国〉』『中上健次と村上春樹』『夏目漱石「われ」の行方』『私小説のたくらみ―自己を語る機構と物語の普遍性』(勉誠出版、2017年)などがある。

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