アジア遊学259
ショモツノナカノキンセイコッカ

書物のなかの近世国家

東アジア「一統志」の時代
小二田章・高井康典行・吉野正史 編
ISBN 978-4-585-32505-5 Cコード 1322
刊行年月 2021年8月 判型・製本 A5判・並製 288 頁
キーワード 中国,東アジア,世界史

定価:3,300円
(本体 3,000円) ポイント:90pt

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書籍の詳細
王朝のすべてを志す

中国王朝が自らの領域の全体を明示すべく、各地域の歴史とデータを集積し作り上げた総合的書物「一統志」。
元・明・清において編まれたこれらの書籍は、東アジア諸国や欧州へも伝播し、近代の地誌・歴史編纂にも影響を与えるものであった。
近代的領域認識の萌芽を体現するこれらの編纂物は、いかなる時代状況において作られたものであったのか。
編纂前史から、王朝三代にわたり編纂されたそれぞれの「一統志」のあり方、周辺諸国や後代に与えた影響をも考察し、「一統志の時代」を浮かび上がらせる。

 

 

目次
序言―「一統志」の「時代」を語るために 小二田章

1 一統志以前
李吉甫の描く「一統」―『元和郡県図志』とその疆域 竹内洋介
宋朝総志編纂考―総志から方志へ 須江隆

2 大元一統志
元代における遼金代東北地域に対する地理認識の地域差―『大元一統志』『遼史』『金史』『大元混一方輿勝覧』の地理記述の比較から 高井康典行
中国史上の「大一統」と『大元大一統志』 櫻井智美
『大元一統志』における路に関する記載について―『大元一統志』輯本の理解のために 吉野正史
 コラム◉宋元時代の道教と地誌―茅山の事例を中心に 酒井規史

3 大明一統志
明代景泰―天順期の政局と一統志 高橋亨
『大明一統志』人物伝とは―『遼東志』との関係をめぐって 荷見守義
『大明一統志』に関するいくつかの問題について 巴兆祥(訳:小二田章)
 コラム◉元・明一統志の非中華世界へのまなざし 向正樹

4 大清一統志
明清期個人編全国志初探―大明から大清への「一統志」の道 小二田章
北辺からみる『大清一統志』 柳澤明
 コラム◉ヨーロッパに伝えられた中国の地理情報―『皇輿全覧図』の製作と宣教師の記録 澤美香

5 東アジアの一統志
中井竹山の名分論について―他学派批判との関連を中心に 清水則夫
「津軽一統志」の編纂と弘前藩 長谷川成一
「文芸」の地誌から「口承」の地誌へ―『信達風土雑記』と『信達一統志』 高橋章則
朝鮮近世の地理誌は誰のものだったのか 吉田光男
朝鮮燕行使の『大明一統志』輸入について 辻 大和
周縁から見た一統志―南の小中華と『大南一統志』 岡田雅志

6 一統志のかなた
古典期(十~十三世紀)イスラーム世界における地方史誌―ウラマーの地方観と知的実践 森山央朗
小国が自ら国境線を引くとき―デンマークの国境設定一〇〇周年に寄せて 村井誠人
 コラム◉清末民国期の地方史編纂─地域と宗族を記録すること 山田賢
日本近世地誌の編纂と地名記載 白井哲哉

編集後記 小二田章
プロフィール

小二田章(こにた・あきら)
早稲田大学文学学術院 講師(任期付)。専門は近世中国史、宋代以降の地方志編纂、東アジアの地方史誌。
論文に「『咸淳臨安志』の位置―南宋末期杭州の地方志編纂」(『中国―社会と文化』28号、2013年)、「『大元一統志』「沿革」にみる編纂過程―平江路を中心に」(『宋代史から考える』汲古書院、2016年)、「『西湖志』にみる清初期杭州の地方志編纂―清朝の文化統治政策を中心に」(『東洋文化研究』21号、2019年)などがある。

高井康典行(たかい・やすゆき)
早稲田大学文学学術院・日本大学文理学部・東京都立大学人文社会学部非常勤講師。専門は契丹[遼]史。
著書に『渤海と藩鎮―遼代地方統治の研究』(汲古書院、2016年)、論文に「契丹[遼]の東北経略と『移動宮廷(行朝)』―勃興期の女真をめぐる東部ユーラシア状勢の一断面」(古松崇志・臼杵勲・藤原崇人・武田和哉編『金・女真の歴史とユーラシア東方』勉誠出版、2019年)などがある。

吉野正史(よしの・まさふみ)
明治大学兼任講師。専門は十二~十五世紀の中国北方政治史。
著書に『中国の歴史・現在がわかる本 第三期〈1〉13~14世紀の中国』(かもがわ出版、2018年)、論文に「「耶律・䔥」と「移剌・石抹」の間―『金史』本紀における契丹・ 奚人の姓の記述に関する考察」(『東方学』127、2014年1月)、「巡幸と界壕―金世宗、章宗時代の北辺防衛体制」(『歴史学研究』2018年7月)などがある。

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