カワバタヤスナリノアイマイナコエ

川端康成の曖昧な声

日本語の小説における文体と身体の交点
平井裕香 著
ISBN 978-4-585-39038-1 Cコード 3095
刊行年月 2024年3月 判型・製本 A5判・上製 304 頁
キーワード 近現代

定価:6,600円
(本体 6,000円) ポイント:180pt

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書籍の詳細

排尿で局部が痛む時の「ああ」、父親が滑落する瞬間の「ああつ」―川端康成の小説は、読む目の奥へ喰い入って身体に響き渡るような声で満たされている。身体から否応なく溢れ出るうめきや叫び。それは必ずしもそれを聞いた人に聞かせるために発された言葉ではない。一対一の・直線的な関係から逸れたところで言葉が受け止められることは、川端の小説において常態化した現象なのだ。
文体と身体、書き手と主人公、語る/語られる私、現実と虚構、自己と他者―。かつて大江健三郎も言及した川端文学の「曖昧さ」を、戦前/戦後を横断する文学批評の変遷や、日本語のもつ多義性とその効果を見据え考究する。

 

 

目次
凡例

序章 二つの「体」が交わるところ―川端文学の声
  第一節 本書のねらいと川端の受容史
  第二節 川端の文体の曖昧さ
  第三節 小説の日本語の曖昧さ
  第四節 川端の身体の曖昧さ
  第五節 川端のモダニズム-リアリズム
  第六節 本書の構成
第一章 二重化する「私/僕」―「非常」と「処女作の祟り」
  はじめに
  第一節 二重化する時間
  第二節 二重化する回路
  おわりに
第二章 受け手としての作者―「十六歳の日記」
  はじめに
  第一節 聞き手としての作者
  第二節 読み手としての作者
  おわりに
第三章 鏡としての「私」―「浅草紅団」
  はじめに
  第一節 反転する「私」
  第二節 春子の役割
  第三節 反転させる「私」
  おわりに
第四章 「彼」という空白―「禽獣」
  はじめに
  第一節 幅のある現在
  第二節 結婚、愛玩、そして心中
  第三節 続きと終わり
  おわりに
第五章 鏡の中で響く声―「雪国」
  はじめに
  第一節 鏡像としての島村
  第二節 応じ合う言葉
  第三節 声とまなざし
  おわりに
第六章 焼かれることに抗う文字―「千羽鶴」と「波千鳥」
  はじめに
  第一節 あざに呪われる物語
  第二節 文子の手紙の宛先
  第三節 涙とふるえ
  おわりに
第七章 近づくことで嗅がれる匂い―「眠れる美女」
  はじめに
  第一節 二つの境界
  第二節 表面への暴力
  第三節 近さと匂い
  おわりに
第八章 「欠視」がもたらす肌触り―「たんぽぽ」
  はじめに
  第一節 視覚とその他
  第二節 不在と存在
  第三節 母と娘
  おわりに
終章 日本近現代文学の声
  第一節 本書のまとめ
  第二節 川端の声とジェンダー
  第三節 川端の声と日本語
  第四節 声の[ポスト]モダニズム

参考文献一覧
あとがき
プロフィール

平井裕香(ひらい・ゆうか)
1989年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。
主な著書に、「【乗代雄介】スパイより愛を込めて―「最高の任務」と川端文学」(仁平政人・原善編『〈転生〉する川端康成Ⅰ 引用・オマージュの諸相』、文学通信、2022年、共著)、論文に「「欠視」がもたらす「肌ざはり」―川端康成「たんぽぽ」の文体と身体をめぐって」(『比較文学』2020年3月)、「近さとしての曖昧さ―川端康成「眠れる美女」のリアリティの構成をめぐって」(『言語情報科学』2021年3月)、「『雪国』と〈わたくし〉―川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』を通して」(川端康成学会編『川端文学への視界37』叡知の海出版、2022年)など。

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