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幕末維新史の流れの中で、美濃大垣藩は佐幕から勤王に転ずる。その決断の背景には、城代・小原鉄心の政治力が大きく働いていた。藩主・戸田氏正とともに、西洋文明の導入や大砲の鋳造など大垣藩の藩政改革に努め、梁川星巌、佐久間象山らとも交流のあった小原鉄心と、詩人菱田海鴎、野村藤陰らの生涯と詩文から、維新史の知られざる側面に光を当てる。
徳田武(とくだ・たけし)1944年群馬県生まれ。明治大学法学部教授。早稲田大学第一文学部卒、1974年同大学院博士課程修了。文学博士。1979年に窪田空穂賞、1980年に日本古典文学会賞、1987年『日本近世小説と中国小説』で日本学士院賞を受賞。主な編・著書に、『梁田蛻巌 秋山玉山』(江戸詩人選集2、岩波書店、1992、復刊、2002)、『近世説美少年録』1・2・3(新編日本古典文学全集、小学館、1999~2001)、『日本漢詩集』(新編日本古典文学全集、小学館、2002)、『近世日中文人交流史の研究』(研文出版、2004)、『幕末維新の文人と志士たち』(ゆまに書房、2008)、『元治夢物語―幕末同時代史』(岩波文庫、2008)、『朝彦親王伝』(勉誠出版、2011)、『馬琴・京伝中編読本解題』、『会津藩儒将 秋月韋軒伝』、『秋成前後の中国白話小説』(勉誠出版、2012)などがある。