メイショウ ヤマモトイソロクノゼツボウ

名将 山本五十六の絶望

鈴木荘一 著
ISBN 978-4-585-22284-2 Cコード 0020
刊行年月 2020年7月 判型・製本 新書判・並製 224 頁
キーワード 戦争,日本史,昭和,近現代

定価:990円
(本体 900円) ポイント:27pt

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書籍の詳細
山本は戦争回避を望みながらも、日本征服を狙ったオレンジ計画を奉じるアメリカと戦い敗れた

二度のアメリカ駐在を通じて航空主兵を力説した山本は米英との戦争回避を望み、日独伊三国同盟に反対して海軍左派トリオと呼ばれた。日米開戦となるや、長期戦を目論むアメリカのオレンジ計画に対抗して真珠湾攻撃とマレー沖海戦を成功させたが、ミッドウェー海戦は大敗となりラバウル航空戦にも戦果なく、機上戦死した。

山本の絶望は、「海軍が勝てば指導部は戦線を拡げ、敗ければ挽回を期して戦争を続け、勝っても負けても戦争は終結しない」という点にあった。(本文より)

 

 

目次
まえがき

第一章 山本五十六とアメリカのオレンジ計画
名将山本五十六
日露戦争で負傷
日露戦争直後に策定された一九〇六年版オレンジ計画
太平洋戦争の遠因となったサンフランシスコ日本人学童隔離問題
一九〇七年版オレンジ計画とアメリカ艦隊の太平洋巡航
明治四十四年の一九一一年版オレンジ計画
大正二年(一九一三年)の日本人移民排斥運動
大正三年(一九一四年)の一九一四年版オレンジ計画
オレンジ計画を見抜いた水野広徳海軍大佐

第二章 第一次世界大戦によりオレンジ計画を無力化
日本は第一次世界大戦に連合国側で参戦  
五十六は長岡藩家老の山本家を相続
三橋礼子と結婚
第一次世界大戦終戦と山本五十六のアメリカ留学

第三章 ワシントン海軍軍縮条約
ワシントン会議で日英同盟破棄
ワシントン海軍軍縮条約
大正十二年の一九二三年版オレンジ計画
水野広徳海軍大佐の日米不戦論
イギリス人バイウオーターの『太平洋戦争未来戦記』
山本五十六の航空主兵論
駐米大使館付武官
空母「赤城」艦長

第四章 ロンドン海軍軍縮条約と海軍条約派の航空重視
浜口雄幸内閣がロンドン海軍軍縮条約に調印  
鳩山一郎の統帥権干犯論と浜口雄幸首相の遭難
海軍航空本部技術部長として航空主兵を推進

第五章 大艦巨砲主義を目指した五・一五事件  
ロンドン軍縮条約を不満とした大艦巨砲主義の海軍中尉藤井斉
海軍青年将校が犬養毅首相を暗殺
斎藤実海軍内閣が挙国一致の昭和軍国主義を推進
大艦巨砲主義の海軍軍令部が航空重視主義の海軍条約派を粛清
第一航空戦隊司令官
岡田啓介内閣の海軍軍縮条約脱退と国体明徴
海軍航空本部長

第六章 米内光政・山本五十六・井上成美の海軍左派トリオ
二・二六事件を鎮圧して台頭した陸軍統制派が親独路線を推進
海相永野修身(おさみ)が海軍左派トリオを抜擢

第七章 日中戦争への深入り
盧溝橋事件の不拡大方針
ドイツが仕組んだ上海戦
昭和天皇の積極方針
大陸命第八號敵國首都南京ヲ攻略スヘシ
参謀次長多田駿の早期和平論は御前会議で却下された
漢口及び広東攻略に関する大陸命第二百一號
ドイツが望んだ三国同盟

第八章 溺れる者ワラをつかんだ三国同盟
三国同盟に反対した海軍左派トリオ
連合艦隊司令長官山本五十六
支那侵攻により軍事的トリムが崩壊
海軍軍令部の図上演習で対米海戦は必敗
米内光政内閣のときアメリカがオレンジ計画を発動し真珠湾へ進出
三国同盟を推進する武藤章が米内内閣を総辞職へ追い込む
外相松岡洋右が三国同盟を締結              

第九章 太平洋戦争への道
三国同盟に絶望した山本五十六 
重慶爆撃        
伝統的な漸減要撃作戦を否定した真珠湾攻撃構想
日米諒解案
日本陸海軍の南部仏印進駐
第三次近衛内閣における帝国国策遂行要領
太平洋戦争を選んだ東條英機内閣

第十章 山本五十六の太平洋戦争
開戦の詔勅
マレー沖海戦とシンガポール攻略
第二段作戦の論争―短期決戦か長期持久戦か
ドーリットル空襲
ミッドウェー海戦の敗北
米豪分断作戦としてガダルカナル島へ進出
い号作戦―山本五十六の最後の戦い
山本五十六の戦死
終戦工作の開始

主な参考文献
プロフィール

鈴木荘一(すずき・そういち)
近代史研究家。昭和23年生まれ。昭和46年東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行にて審査、産業調査、融資、資金業務などに携わる。とくに企業審査、経済・産業調査に詳しく、その的確な分析力には定評がある。平成13年日本興業銀行を退社し、以後歴史研究に専念、「幕末史を見直す会」代表として、現代政治経済と歴史の融合的な研究や執筆活動などを行っている。
主な著書に、『明治維新の正体』(毎日ワンズ)、『日露戦争と日本人』(かんき出版)、『日本征服を狙ったアメリカのオレンジ計画と大正天皇』(かんき出版)、『アメリカの罠に嵌った太平洋戦争』(自由社)、『究極の敗戦利得者日本外務省が隠蔽する 満州建国の真実―軍事の天才石原莞爾の野望と挫折』『日中戦争はスターリンが仕組んだ』『幕末会津藩 松平容保の慟哭』『幕末の天才 徳川慶喜の孤独』『それでも東條英機は太平洋戦争を選んだ』『陸軍の横暴と闘った 西園寺公望の失意』『昭和の宰相 近衛文麿の悲劇』『雪の二・二六』『三島由紀夫と青年将校』『日中戦争の正体』(勉誠出版)など。

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