カンモンニッキトソノジダイ

看聞日記とその時代

好奇心旺盛な皇族・伏見宮貞成が語る中世社会
薗部寿樹 著
ISBN 978-4-585-32059-3 Cコード 1021
刊行年月 2024年10月 判型・製本 四六判・並製 344 頁
キーワード 中世,室町,日本史

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

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書籍の詳細
室町期皇族が記録した奇想天外な中世社会の実像

室町時代史研究における第一級史料『看聞日記』。
その日記には貧乏な皇族・伏見宮貞成が京都近郊の村落・伏見に移り住んで見聞きした中世社会のありようが事細かに記録されている。
将軍足利義教が暗殺された嘉吉の乱の内幕、僧侶の犯罪、猿楽の鑑賞や酒宴、怪異や怨霊と陰陽師の活躍など―。
33年分の日記のなかから、政治・思想・社会・文化・習俗に関する興味深いエピソードを選出。
読みやすい現代語訳とわかりやすい解説で楽しむ一冊。

 

 

目次
はじめに
[解説]伏見宮貞成と『看聞日記』

現代語・抄訳で楽しむ『看聞日記』
一 中世の領主
(1)内裏の防火と称光天皇
(2)栄仁親王の死
(3)栄仁親王の火葬と治仁王の人魂
(4)足利義嗣の末路と白虹
(5)治仁王の急死
(6)宇治川の船遊び
(7)石帯「金青玉」
(8)貴族が経営する旅館
(9)新内侍懐妊疑惑とその顛末
(10)斯波義教の死
(11)宮家の女性たちの呼び名を改める
(12)十四歳新参の侍女
(13)後小松上皇次男・小川宮の酒乱騒動
(14)青蓮院主(のちの足利義教)と摂津猿楽の恵波
(15)伏見宮家女房の逃亡
(16)貞成、九条満教関白に伏見荘内の石橋を贈与する
(17)中世の領主と男色
(18)若き日の貞成の祈願
(19)下馬しない土民
(20)天狗になった天皇
(21)上皇御所女房・女官の密通と後小松上皇の大法
(22)室町将軍の「あれ」
(23)美物の鮒鮨の荒巻・鮎鮨・酒浸・貝のあわ・さいり、そして酒樽
(24)専制君主への忖度
(25)足利義教による暗殺指令
(26)後白河法皇が夢に出た!
(27)足利義教御所内の乱れ
(28)天皇が自身の和歌に「君」と詠むべきではない
(29)大事な仕事に従事する従者は酒と素麺で主人をもてなす。主人はまた強飯と酒で従者をもてなす
(30)嘉吉の乱
(31)貞成、禁闕の変で後花園天皇と再会する


二 宗教と芸能
(1)闘茶とその賞品
(2)舞天覧
(3)酒宴の風流(物真似芸)
(4)ある楽人の嘘
(5)遍歴の芸人
(6)和歌論争
(7)お寺の法律「殺生禁断」
(8)相国寺僧の武装解除
(9)鬼一口の絵巻物
(10)桂地蔵の信仰
(11)漢方薬と中国人の物真似―唐物の流行―
(12)足利義持の東大寺大仏彩色修理
(13)御香宮祭礼と伏見宮家
(14)立春改年と陰陽師
(15)高僧が住民に襲われる
(16)芳徳庵老庵主との和歌贈答
(17)御香宮の祭礼行列
(18)老女二人の酔狂
(19)盲目の女芸人愛寿・菊寿
(20)源氏物語の読書会
(21)八幡神と連歌をした夢
(22)桂地蔵堂の放下
(23)北野天神の発句
(24)疫病と夢想・怪異・神託
(25)大施餓鬼会をめぐる勧進僧と河原者の争い
(26)中世のドラゴンボール「蓬莱玉」
(27)室町時代の即身仏
(28)神社の陰陽師と湯起請
(29)河内国の女性連歌師
(30)おめき仏

三 村人と習俗
(1)父の死に場所にかんなを掛けて浄める
(2)小正月の村の習俗「風流松拍」
(3)菖蒲葺き
(4)伏見荘地侍・小川禅啓の官職任命
(5)百手会
(6)念仏とお囃子の仮装行列
(7)小正月、松囃子の物真似芸
(8)閏二月は不吉(付)「汚い場所」
(9)正月節養
(10)神様の思し召しと伏見荘地下一庄の会合
(11)桃の節供と闘鶏
(12)人日に雪が降るのは豊作の吉瑞
(13)遊戯「文字合わせ」の流行
(14)貧乏公家をバカにした狂言
(15)牛と晴祈祷
(16)貞成、秘密裏に口宣案を偽作する
(17)松笠を結う
(18)お歯黒男子
(19)毬杖と羽根突き
(20)ある村人の死
(21)麁色を取る
(22)赤ん坊の頭は吉事である
(23)屏風を逆さまに立てるということ
(24)お盆を祝う
(25)貞成は七草粥を食べたか

四 怪異と霊力
(1)北山大塔の怪異と足利義満の霊夢
(2)カメの小便の漢方薬
(3)怪異の噂
(4)マラリア落としの霊物―空海の筆と算木―
(5)手ぬぐいの怪異と栄仁親王の死
(6)京の化け狸
(7)不浄負け
(8)伏見荘石井村の奇女
(9)六条殿後戸の怪異
(10)夕陽と羽蟻の怪異
(11)光り物の飛来
(12)怪異「犬の小便」
(13)狐憑きによる病気治療
(14)足利義持狐憑暗殺未遂事件
(15)伏見荘に火車が来た
(16)鶯が屋内に飛び入るのは怪異か吉兆か
(17)蛙の大量発生は奇瑞である
(18)貞成の妻・庭田幸子が霊夢を見る
(19)足利義教御所に現れる髪切り女房の妖怪
(20)カラスの怪異
(21)香水の霊力
(22)お彼岸に京の一条戻橋東詰で、凶事を拍す妖物が夜な夜な出現する
(23)邪気を祓う
(24)足利義教をうらむ怨霊が義勝を呪い殺す
(25)毒虫

五 中世の合戦と犯罪
(1)戦う公家―八条公衡の奮戦―
(2)上杉禅秀の乱と錦の御旗
(3)即成院強盗事件
(4)浄金剛院の僧が妻敵に殺される
(5)大津馬借の騒動
(6)中国・南蛮・朝鮮が日本に攻めてくるというウワサ
(7)公家従者の青侍と将軍近習の喧嘩
(8)土倉盗人
(9)学問僧の犯罪
(10)二つの水攻め
(11)洛中洛外で子取りが横行する
(12)米商人の犯罪と飢渇祭
(13)笠符は、絵なのか字なのか
(14)ある僧侶の殺人事件とその処罰
(15)伏見荘即成院不動尊の盗難事件

六 動物
(1)ペットの白い羊
(2)空から降り下る蛇と竜
(3)上棟式のお祝いにカマキリ?
(4)宇治川から舞い上がる白い竜
(5)飼い猫が犬に噛み殺される
(6)称光天皇が飼育していた羊を、弟の小川宮が殴り殺す
(7)鹿の鳴き声
(8)蜂の合戦
(9)人間の言葉をしゃべる馬
(10)将軍足利義教、小人に会う
(11)ウサギやアホウドリを飼う
(12)帯張子
(13)小鳥を口縄に食べられる
(14)百足は御福である
(15)兔は寒さに弱い?

おわりに
看聞日記・伏見宮貞成関係文献目録
伏見宮貞成略年譜
プロフィール

薗部寿樹(そのべ・としき)
1958年東京都品川区生まれ。
1989年筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻 単位取得退学。博士(文学)[筑波大学]。
現在は山形県立米沢女子短期大学名誉教授。中央大学文学部兼任講師。
主な著書に『日本中世村落内身分の研究』(校倉書房、2002年)、『村落内身分と村落神話』(校倉書房、2005年)、『日本の村と宮座―歴史的変遷と地域性―』(高志書院、2010年)、『中世村落と名主座の研究―村落内身分の地域分布―』(高志書院、2011年)、『日本中世村落文書の研究』(小さ子社、2018年)がある(いずれも単著)。

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