ヒョウハクノジョジ

漂泊の叙事

一九四〇年代東アジアにおける分裂と接触
濱田麻矢・薛化元・梅家玲・唐顥芸 編
ISBN 978-4-585-29112-1 Cコード 3098
刊行年月 2016年1月 判型・製本 A5判・上製 520 頁
キーワード 中国,近現代

定価:8,800円
(本体 8,000円) ポイント:240pt

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書籍の詳細
中華圏が大分裂した時代、表現者たちはどのような自己認識のもとに世界観を構築してきたのか

複数の場を往還する表現者による異郷体験=漂泊がもたらした、小説・詩・劇・旅行記・映画・流行歌などの様々な叙事。ある場と作家との接触、作品と受容者との接触という観点から、多彩な叙事のあり方を立体的に読み解き、柔軟な文化史を創成する。

 

 

目次
序文
戦争の叙事と叙事の戦争 王徳威
戦争の流変 張小虹
大分裂時代における東南アジア華人文化の断絶と存続 李元瑾
詩句は流亡を記すのみにあらず 陳平原
戦う文芸と声の政治 梅家玲
詩、戦争、内通 高嘉謙
戦争と詩、戦争の詩 唐顥芸
浮雲を看て世事を知るに慣る 季進
張愛玲『五四遺事』における「五四」と四〇年代の「遺事」 王風
葉霊鳳の小説創作とビアズレー 梁敏児
金沢第四高等学校における齊世英 杉村安幾子
「情」のユートピア? 呂淳鈺
満洲国留学生の日本見学旅行記 羽田朝子
海/港に見る台湾 陳培豊
台湾を愛す、巍巍として海の中間に立ち 沈冬
『期待と焦慮』 盧非易
曖昧な他者 楊瑞松
「孤島」期上海における劇種間の相互連関について 田村容子
一九四九年の語り方 濱田麻矢
戦争、女性と国族(ネーション)の叙事 賀桂梅
あとがき
プロフィール

濱田麻矢(はまだ・まや)
1969年生まれ。神戸大学大学院人文学研究科准教授。専門は20世紀の中国語圏文学、特に女性文学。
主な論文に「北京で語られるアメリカ像:宗璞の1949年、イーユン・リーの1989年」(『中国21』43号、2015年)、「青い服の少女———張恨水、張愛玲における女学生イメージ———」(『高田時雄教授退職記念東方学研究論集』臨川書店、2014年)、「遥かなユートピア 王安憶『弟兄們』におけるレズビアン連続体」(『現代中国』87号、2013年)など。

薛化元(せつ・かげん)
1959年生まれ。国立政治大学台湾史研究所教授、自由思想学術基金会董事長。専門は台湾史、中国近代思想史、憲政史。
主な著作に『『自由中国』与民主憲政』(稲郷出版社、1996)、『戦後台湾歴史閱覧』(五南図書出版股份有限公司,2010年)、『晚清「中体西用」思想論(1861~1900)』(修訂版)(稲郷出版社、2001年)がある。

梅家玲 (ばい・かれい)
台湾大学中国文学系特聘教授兼台湾研究センター主任。専門は中国近現代文学、台湾文学、六朝文学。
主な著書に『従少年中国到少年台湾:二十世紀中文小説的青春想像与国族論述』(麦田出版、2012年)、『性別,還是家国?——五〇与八、九〇年代台湾小説論』(麦田出版、2004年)、『漢魏六朝文学新論——擬代与贈答篇』 (北京大学出版、2004年)等。

唐顥芸(とう・こううん)
同志社大学グローバル・コミュニケーション学部助教。専門は台湾文学。
主な論文に「日本統治期台湾における楊雲萍の詩——白話詩と日本語詩集『山河』を中心に」(『日本台湾学会報』第9号、日本台湾学会、2007年)、「日本統治期台湾の詩におけるモダニズムの受容——林修二を例に——」(『一九三〇年代と接触空間——ディアスポラの思想と文学』、双文社出版、2008年)、「現代詩の可能性を求めて——夏宇/李格弟『このシマウマ』『あのシマウマ』——」(『未名』29号、中文研究会、2011年)などがある。

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