アジア遊学194
セカイカラヨムソウセキココロ

世界から読む漱石『こころ』

アンジェラ・ユー/小林幸夫/長尾直茂/上智大学研究機構 編
ISBN 978-4-585-22660-4 Cコード 1395
刊行年月 2016年2月 判型・製本 A5判・並製 224 頁
キーワード 評論,近代

定価:2,200円
(本体 2,000円) ポイント:60pt

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書籍の詳細
かつて日本を代表する〝文豪〟としてお札の中に閉じ込めていた漱石を、私たちはもう日本という埒内だけに留めておくことはできない―

夏目漱石『こころ』は、1914年に連載が開始されて以来、日本近代文学を代表する作品として読まれ続けてきた。また、優れた翻訳によって、国内だけでなく、海外でも読まれ、研究される作品となっている。
国内外の研究者による様々な論攷から、百年を経た過去の作品としてではなく、いま世界で読まれる文学作品としての魅力と読みの可能性を提示する。

 

 

目次
序言―世界から漱石を読むということ アンジェラ・ユー 小林幸夫 長尾直茂(上智大学研究機構長)

第一章 『こころ』の仕組み
『こころ』と反復 アンジェラ・ユー
思いつめ男に鈍い男―夏目漱石「こころ」 小林幸夫
「こころ」:ロマン的〈異形性〉のために 関谷由美子
深淵に置かれて―『黄粱一炊図』と先生の手紙 デニス・ワッシュバーン(渡辺哲史/アンジェラ・ユー 共訳)
【コラム】乃木将軍の殉死と先生の死をめぐって―「明治の精神」に殉ずるということ 会田弘継

第二章 『こころ』というテクストの行間
語り続ける漱石―二十一世紀の世界における『こころ』 栗田香子
クィア・テクストとしての『こころ』―翻訳学を通して スティーブン・ドッド(渡辺哲史 訳)
『こころ』と心の「情緒的」な遭遇 安倍=オースタッド・玲子
「道のためなら」という呪縛 高田知波

第三章 誕生後一世紀を経た『こころ』をめぐって
朝日新聞の再連載からみる「こころ」ブーム 中村真理子
【コラム】シンポジウム「一世紀後に読み直す漱石の『こころ』」を顧みて 長尾直茂
『こころ』の授業実践史―教科書教材と学習指導の批判的検討 稲井達也
カタストロフィへの迂回路―「イメージ」と漱石 林道郎

【研究史】夏目漱石『こころ』研究史(二〇一三~二〇一五年) 原貴子
プロフィール

アンジェラ・ユー(Angela Yiu)
上智大学国際教養学部教授。
主な著書に、Three-Dimensional Reading: Stories of Time and Space in Japanese Modernist Literature 1911-1932(2013)、Chaos and Order in the Works of Natsume Sōseki(1998)などがある。

小林幸夫(こばやし・さちお)
上智大学文学部教授。専門は日本近代文学。
主な著書に、『認知への想像力・志賀直哉論』(双文社出版、2004年)、『森鷗外論―現象と精神』(国研出版、2009年)などがある。

長尾直茂(ながお・なおしげ)
上智大学教授・同研究機構長。専門は中国古典学・日本漢学。
主な著書・論文に、「近世漢文考證随筆管窺―夜半鐘声を題材として」(『江戸の漢文脈文化』竹林舎、2012年)、「日本漢詩文に見る楠正成像―諸葛孔明との関連において」(アジア遊学173号『日中韓の武将像』勉誠出版、2014年)、『吉嗣拝山年譜考證』(勉誠出版、2015年)などがある。

上智大学研究機構
上智大学が研究大学として特色のある学術研究活動が組織的かつ戦略的に推進されることを支援するために設置した機構。積極的な研究活動の推進と公開を目指すために「ソフィア・オープン・リサーチ・ウィーク」を毎年開催し、傘下の研究部門を中心にシンポジウムやセミナー・ワークショップなどの催しを通じて、積極的に社会に研究成果を発信している。

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