タタカウチベットブンガク クロキツネノタニ

闘うチベット文学 黒狐の谷

ツェラン・トンドゥプ 著/海老原志穂・大川謙作・星泉・三浦順子 訳
ISBN 978-4-585-29142-8 Cコード 0097
刊行年月 2017年4月 判型・製本 四六判・上製 416 頁
キーワード アジア

定価:3,740円
(本体 3,400円) ポイント:102pt

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書籍の詳細
チベット文学の神髄、ここにあり!

現代人の孤独という同時代的な問題を投げかけるチベットを代表する作家・ツェラン・トンドゥプの初翻訳小説集。社会や宗教、政治の腐敗に対する風刺をテーマに、変わりゆく世相や、人びとの抱える現実や苦悩をリアリスティックな筆致で描き出す。
チベットの人びとだけでなく、英語、フランス語、ドイツ語などにも翻訳され、世界各地で読まれている。およそ30年にわたる作家活動の中で生み出された数多くの作品の中から、珠玉の短編15篇、中編2篇を掲載。

こちらから著者からのメッセージが読めます。

 

 

目次
地獄堕ち
ツェチュ河は密かに微笑む
黒い疾風(はやて)
月の話
世の習い
ラロ
復讐
兄弟
美僧
一回の真言(マニ)
D村騒動記
河曲馬
鼻輪
両親の介護をした最後の人
あるエイズ・ボランティアの手記
ブムキャプ
黒狐の谷
訳者解説
プロフィール

ツェラン・トンドゥプ(次仁頓珠 Tsering Döndrub)
1961年、チベット・アムド地方ソクゾン(中国青海省黄南チベット族自治州河南モンゴル族自治県)の牧畜民家庭に生まれる。黄南民族師範学校を卒業後、1983年に短編小説「タシの結婚」(未邦訳)で作家デビュー。青海民族学院、西北民族学院で文学について学んだ後、1986年に故郷に戻り、司法局に勤務しながら創作活動を続ける。
その後、県誌編纂所に異動し、県の十年鑑の編纂業務に従事するかたわら数多くの小説を発表する。県誌編纂所所長、档案局局長を経て退職、現在は創作に専念している。チベットの現代文学を代表する作家の一人。作品は様々な言語に翻訳され、国際的にも名高い。
代表作に長編小説『赤い嵐』、『僕の二人の父さん』(いずれも未邦訳)など。

海老原志穂(えびはら・しほ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー。専門はチベット語の方言研究、チベット現代文学。
著書に『アムド・チベット語の発音と会話』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2010年)、「ヤクの名は。」(『FIELDPLUS』17号、2017年)などがある。

大川謙作(おおかわ・けんさく)
日本大学文理学部准教授。専門はチベット社会史、チベット現代政治、社会人類学。
近年の著作にA Study on Nang zan: On the Reality of the "Servant Worker" in Traditional Tibetan Society (Revue d'Etudes Tibétaines, vol. 37, 2016) や「包摂の語りとその新展開―チベットをめぐる国民統合の諸問題」(『史潮』第79号、2016年)などがある。

星泉(ほし・いずみ)
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。専門はチベット語、チベット文学。
著書に『古典チベット語文法―『王統明鏡史』(14世紀)に基づいて』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2016年)、訳書にラシャムジャ『チベット文学の新世代 雪を待つ』(勉誠出版、2015年)などがある。

三浦順子(みうら・じゅんこ)
チベット関連の翻訳家。
主な訳書にリンチェン・ドルマ・タリン『チベットの娘』(中央公論新社、2003年)、ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ『ダライ・ラマ 宗教を語る』(春秋社、2011年)、『ダライ・ラマ 宗教を超えて』(サンガ、2012年)などがある。

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