チョウコンスイノジクウカン

張恨水の時空間

中国近現代大衆小説研究
阪本ちづみ 著
ISBN 978-4-585-29180-0 Cコード 3098
刊行年月 2019年3月 判型・製本 四六判・上製 256 頁
キーワード 評論,中国,近現代

定価:4,180円
(本体 3,800円) ポイント:114pt

 品切 
書籍の詳細
1930年代、魯迅の時代に最も読まれた中国大衆小説、張恨水作品をとらえなおす

張恨水(1895~1967)は鴛鴦蝴蝶派の代表的作家として長く批判にさらされた。
本書は中国近代文学史を大衆の側から書き換える。都市構造、近代交通、映画、メディア、近代建築、近代病理、ジェンダーから作品を読み解く。同時に結末に至る哲学的思索もそなえる。
前近代と近代の狭間に揺れ動く作品世界を動的に描写する。

 

 

目次


第一部 張恨水作品論
一、都市小説として『啼笑因縁』を読む
【コラム1】張恨水―頑固な売れっ子作家
二、『啼笑因縁』をめぐるもう一つの物語
【コラム2】張恨水及び通俗文学評価をめぐって
三、小説と映画化―張恨水『銀漢双星』の場合
四、張恨水『平滬通車』(上海特急)論―「近代」に乗り遅れた男
五、メロドラマの中の狂気

第二部 中国現代文学研究
一、馬原小説札記
二、鳥を飼う老人―陳建功と都市
【コラム1】蘇童―逃げても逃げてもメビウスの輪
三、王安憶『長恨歌』―可愛的上海小姐
【コラム2】《書評》岸陽子著 早稲田大学出版部 『中国知識人の百年 文学の視座から』

第三部 エッセイ
【コラム1】中国のポピュラー・ミュージック あれこれ
【新歳時記 春の巻】菜の花の思い出
【新歳時記 夏の巻】海水浴
【新歳時記 秋の巻】香山に登る
【新歳時記 冬の巻】厳寒の北京

第四部 解説とあとがき
読者への想像力―馬原論に寄せて 加藤三由紀
現代中国の都市文学/市井小説あるいは中国作家にとっての北京、上海―阪本ちづみ氏の二論文を読む 栗山千香子
阪本ちづみさんの張恨水作品研究 宮尾正樹
一冊の本と一人の少年を残して君は逝ってしまった。 牧陽一

初出一覧
阪本ちづみ略歴
プロフィール

阪本ちづみ(さかもと・ちづみ)
1958年生まれ。1981年お茶の水女子大文教育学部卒業。三井物産勤務を経て天津南開大学留学。1994年お茶の水女子大学比較文化研究科博士課程中退。1995年法政大学経済学部勤務。2003年法政大学教授、北京大学訪問学者。2016年逝去。
一部翻訳書に『紙の上の月 中国の地下文学 発見と冒険の中国文学7』(JICC出版局、1991年)、『東アジアの新世紀 第4巻 アイデンティティ』(岩波書店、2002年)、『アイ・ウェイウェイ スタイル 現代中国の不良』(勉誠出版、2014年)がある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「中国研究月報」(2020年6月号)に書評が掲載されました。
 →評者:濱田麻矢(神戸大学教授)

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