チュウセイノハカタトアジア

中世の博多とアジア

伊藤幸司 著
ISBN 978-4-585-22300-9 Cコード 3020
刊行年月 2021年2月 判型・製本 A5判・上製 564 頁
キーワード 交流史,アジア,日本史,江戸,室町,中世

定価:10,450円
(本体 9,500円) ポイント:285pt

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書籍の詳細
中世日本における国際交流の最前線

中世日本においてアジアへの窓口であり、アジアにおける日本への窓口でもあった博多。
アジアの海商が来航する博多での貿易活動は、民間取引や国家外交など、多様で広範な国際交流のなかで展開されていた。
また、博多で展開する宗教勢力は、こうした国際交流と密接不可分の状況で展開し、その影響はネットワークを通じて広く列島の各所にも及んでいた。
中世の博多をもっとも特徴付ける要素である「貿易」と「宗教」という視角から俯瞰的に考察し、中世日本最大の国際貿易港であり、東アジア海域有数の港湾都市であった博多の実像に迫る。
国際交流史、都市史、流通史、宗教史を架橋する新知見を提示する画期的な一書。

 

 

目次
カラー口絵

凡 例

 序 章 中世博多研究の潮流
   はじめに
  一 中世博多をめぐる文献史学と考古学との協業
  二 「狭義の博多」と「広義の博多」
  三 「トウボウ」をめぐる議論
  四 本書の構成
   おわりに

第一部 貿易都市博多
 第一章 港町複合体としての中世博多湾
   はじめに
  一 貿易物資集積地としての博多湾
     (1) 集散地としての博多湾
     (2) 貿易物資としての材木
  二 博多湾のなかの港湾機能
     (1) 志賀島
     (2) 能古島
     (3) 北崎(唐泊)
     (4) 博多湾における湾口部の港湾機能
  三 都市博多を補完する博多湾の港町
     (1) 今津
     (2) 姪浜
     (3) 香椎
  四 博多湾のなかの箱崎
     (1) 箱崎津
     (2) 筥崎宮をめぐる諸勢力
     (3) 筥崎宮と博多綱首
     (4) 箱崎と博多
   おわりに
 第二章 中世博多の海商と海の道―南島路をめぐって―
   はじめに
  一 一四世紀前半以前の南島路
     (1) 一一世紀後半以降の高麗―奄美群島と海商
     (2) 南島路の萌芽
  二 一四世紀後半以降の南島路
     (1) 南島路と琉球
     (2) 中世後期における博多商人の役割をめぐって
     (3) 『海東諸国紀』に描かれた南島路
   おわりに
 第三章 日朝関係における偽使の時代―博多商人の視角から―
   はじめに
  一 偽使の発生と展開―一五世紀前半の通交統制と博多商人―
     (1) 偽使の初見
     (2) 世宗期の通交統制策
     (3) 九州探題渋川氏との連携
     (4) 大友氏との連携
     (5) 中央政権との連携
     (6) 宗貞盛の博多進出と博多商人
     (7) 癸亥約条の成立とその影響
     (8) 新たな通交権の模索
     (9) 博多商人以外の通交者たち
  二 偽使通交の拡大と変容―一五世紀後半の対馬宗氏と博多商人―
     (1) 一四五〇年代以降の深処倭名義の通交権
     (2) 「朝鮮遣使ブーム」の実態と対馬宗氏・博多商人
     (3) 一六世紀から一七世紀前半の偽使通交
   おわりに
 第四章 中世後期の博多とアジア
   はじめに
  一 一四世紀東アジアにおける王朝交替
  二 南北朝の動乱と東アジア
  三 遣明船の開始
  四 南蛮船の渡来
  五 応永の外寇と日本国王使
  六 宋希璟の来日と博多の朝鮮通交
  七 博多商人宗金の朝鮮通交
  八 遣明船の復活と博多
  九 博多商人による朝鮮通交権の模索
  一〇 偽使通交の拡大
  一一 博多商人と琉球
  一二 偽使通交権の崩壊
  一三 一六世紀の博多とアジア
   おわりに

第二部 宗教都市博多
 第五章 宗教都市博多の中世―寺社を中心として―
   はじめに
  一 中国的世界の誕生―博多浜の禅寺―
  二 蒙古襲来と博多の寺社
  三 息浜の開発と寺院の建立
  四 大内氏の進出と博多の寺々
  五 博多都市民の神々
   おわりに
 第六章 博多と鎌倉―鎌倉時代の日本禅宗界―
   はじめに
  一 博多禅と鎌倉禅
  二 蘭渓道隆と博多
  三 南浦紹明の博多下向
  四 南浦紹明と趙良弼
  五 鎌倉と直結する博多の禅寺
   おわりに―博多と鎌倉の希薄化―
 第七章 首羅山・油山と東アジア
   はじめに
  一 悟空敬念と円爾
  二 悟空敬念と東巌慧安
  三 悟空敬念と兀庵普寧
  四 首羅山と博多
  五 油山と博多
   おわりに
 第八章 中世の崇福寺をめぐって
   はじめに
  一 大宰府崇福寺と博多承天寺
  二 大応派と聖一派の確執
  三 大宰府横岳派の展開
  四 室町期の崇福寺と妙楽寺
   おわりに―近世の崇福寺へ―
 第九章 博多聖福寺と臨済宗幻住派
   はじめに
  一 無隠元晦とその弟子
  二 幻住派の世紀
  三 戦国・織豊期における聖福寺復興活動
   おわりに

第三部 博多の史料研究
 第一〇章 聖福寺古図と承天寺古図―描かれた戦国時代の博多―
   はじめに
  一 聖福寺古図
     (1) 紛失した「聖福寺古図」
     (2) 九州大学の「聖福寺之絵図」
     (3) 描かれた聖福寺の関内
  二 承天寺古図
     (1) 策彦周良の賛文をめぐって
     (2) 狩野松栄の絵をめぐって
   おわりに
 第一一章 湖心碩鼎『頤賢録』について
   はじめに
  一 湖心碩鼎
  二 『頤賢録』
   おわりに

 終 章 アジアのなかの港市博多
   はじめに
  一 港市博多の変遷
     (1) 浮島に誕生した博多
     (2) 博多津唐房の形成
     (3) 博多息浜の開発
     (4) 東アジア海域秩序の変容への対応
     (5) 博多―異国をめぐる航路
  二 集散港としての博多の構造
     (1) 港町複合体としての中世博多湾
     (2) アジアの港市との比較
   おわりに

史料編 湖心碩鼎『頤賢録』
 凡 例
 『頤賢録』乾
 『頤賢録』坤


初出一覧
研究費使用一覧
あとがき
掲載図表一覧
参考文献一覧
索 引
プロフィール

伊藤幸司(いとう・こうじ)
1970年岐阜県生まれ。九州大学大学院文学研究科博士後期課程修了 博士(文学)。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。専門は日本中世史・東アジア交流史。
著書に『中世日本の外交と禅宗』(吉川弘文館、2002年)、『大学的やまぐちガイド―「歴史と文化」の新視点―』(編著、昭和堂、2011年)、『東アジア海域叢書11 寧波と博多』(共編著、汲古書院、2013年)、『日明関係史研究入門』(共編著、勉誠出版、2015年)、『室町戦国日本の覇者 大内氏の世界をさぐる』(責任編集、大内氏歴史文化研究会編、勉誠出版、2019年)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「日本歴史」888号(2022年5月1日発行)に書評が掲載されました。
 →評者:関周一氏(宮崎大学教育学部教授)

◆正誤表ファイルは以下からダウンロードできます。
『中世の博多とアジア』正誤表

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