リクグンノオウボウトタタカッタ サイオンジキンモチノシツイ

陸軍の横暴と闘った 西園寺公望の失意

政党政治の育成を目指した上級公卿の挫折
鈴木荘一 著
ISBN 978-4-585-22232-3 Cコード 0021
刊行年月 2019年3月 判型・製本 新書判・並製 192 頁
キーワード 伝記,日本史,大正,近代

定価:880円
(本体 800円) ポイント:24pt

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書籍の詳細

10年間にわたるフランス留学で、フランスの自由主義や文化を吸収した西園寺公望。政党政治への理解も深かった西園寺は、伊藤博文とともに政友会を結成し、2度にわたり内閣を組織した。
そして、政友会と民政党が交互に政権を担う「大正デモクラシー」を開花させたが、五・一五事件で犬養毅首相が凶弾に倒れると、政党政治は終焉した。
その後、西園寺は、昭和十二(1937)年、陸軍の横暴を押さえるべく首相に宇垣一成を推奏したが、専横を極める陸軍統制派の妨害に遭い失脚。
日独伊三国軍事同盟が調印された昭和十五(1940)年、日本の行く末を歎き、失意のうちにこの世を去った。
政党政治の成立に尽力し、暴走する陸軍と闘った西園寺公望の生涯をたどる。

 

 

目次
第一章 政党政治家西園寺公望の活躍
西園寺公望の登場
第一次桂太郎内閣
第一次西園寺公望内閣
疑似政権交代システムとしての桂園時代
第二次桂内閣の財政再建努力
第二次西園寺内閣は二個師団増設問題で倒れる
第三次桂内閣は第一次護憲運動で倒れる
新たな元老西園寺公望が山本権兵衛を指名
第二次大隈内閣は日英同盟に基づき第一次世界大戦に参戦

第二章 山県有朋が政党政治を妨害
山県有朋が第二次大隈内閣の親英米外交を不満とした
第二次大隈内閣に対する山県有朋の倒閣運動 
寺内正毅内閣の対中国外交の失敗 
原敬内閣が山県外交を継続 
高橋是清内閣がワシントン会議で日英同盟を廃棄

第三章 大正デモクラシーにおける「憲政の常道」
ワシントン体制に順応した加藤友三郎内閣
「憲政の常道」の確立
第一次若槻内閣は軟弱外交と批判され総辞職
内政を重視した田中義一内閣の瓦解
浜口内閣のロンドン海軍軍縮条約と鳩山一郎の統帥権干犯論
第二次若槻内閣のとき満州事変が発生
犬養毅内閣の金輸出再禁止と五・一五事件

第四章 五・一五事件による政党政治の終焉
裕仁皇太子はイギリスを訪れ立憲君主制への理解を深めた
宮内大臣牧野伸顕が昭和天皇による天皇親政を目論む
内大臣牧野伸顕が昭和天皇に天皇親政を慫慂
昭和天皇は天皇親政に転換なされた

第五章 テロへの配当としての斎藤実内閣
昭和天皇は政党政治を終焉させて斎藤実内閣を作った
近衛文麿は「憲政の常道」による政党政治の継続を主張
斎藤実内閣の発足
斎藤内閣の満州国承認と国際連盟脱退
軍令部長伏見宮博恭王による軍令部優位と海軍条約派の粛清
帝人事件により斎藤内閣総辞職
復権を目指した元老西園寺公望が岡田啓介内閣を成立させた

第六章 二・二六事件後の粛軍
陸軍の四派閥
第二次若槻内閣の満州事変不拡大方針
統制派のリーダー永田鉄山の対支一撃論
皇道派小畑敏四郎・荒木貞夫の対支不戦論
陸軍三長官
統制派の領袖永田鉄山VS皇道派真崎甚三郎の対立
相沢三郎中佐が永田鉄山軍務局長を斬殺
二・二六事件における昭和天皇の断固鎮圧方針
統制派のニュー・リーダー武藤章中佐の台頭
二・二六事件後の広田弘毅内閣の組閣
軍部大臣現役武官制復活と日独防共協定
腹切り問答による広田内閣総辞職

第七章 宇垣一成を擁立した西園寺の失脚
宇垣一成への大命降下
陸軍省軍務局が宇垣一成の組閣を妨害
昭和天皇は優詔を下さなかった
元老西園寺公望の失脚
林銑十郎の首相就任
食い逃げ解散敗北により総辞職
元老西園寺公望の死

主な参考文献
プロフィール

鈴木荘一(すずき・そういち)
近代史研究家。昭和23年生まれ。昭和46年東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行にて審査、産業調査、融資、資金業務などに携わる。とくに企業審査、経済・産業調査に詳しく、その的確な分析力には定評がある。平成13年日本興業銀行を退社し、以後歴史研究に専念、「幕末史を見直す会」代表として、現代政治経済と歴史の融合的な研究や執筆活動などを行っている。
主な著書に、『明治維新の正体』(毎日ワンズ)、『日露戦争と日本人』(かんき出版)、『日本征服を狙ったアメリカのオレンジ計画と大正天皇』(かんき出版)、『アメリカの罠に嵌った太平洋戦争』(自由社)、『究極の敗戦利得者日本外務省が隠蔽する 満州建国の真実―軍事の天才石原莞爾の野望と挫折』『日中戦争はスターリンが仕組んだ』『幕末会津藩 松平容保の慟哭』『幕末の天才 徳川慶喜の孤独』『それでも東條英機は太平洋戦争を選んだ』(勉誠出版)など。

書評・関連書等

★広告情報
・「読売新聞」(2019年2月19日)にサンヤツ広告を掲載しました。
・「産経新聞」(2019年2月21日)に5段1/2広告を掲載しました。
・「産経新聞」(2019年3月28日)に5段1/2広告を掲載しました。

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