アジア遊学265
シュウキョウゲイノウトシテノノウガク

宗教芸能としての能楽

高橋悠介 編
ISBN 978-4-585-32511-6 Cコード 1314
刊行年月 2022年1月 判型・製本 A5判・並製 280 頁
キーワード 美術,宗教,中世

定価:3,300円
(本体 3,000円) ポイント:90pt

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書籍の詳細

寺社文化圏や唱導との関わりの中から、多くの作品が生み出されてきた能楽。
能作品には、中世の寺社のありようや信仰、学問、宗教文化が反映されているが、その宗教的な背景は、未だ充分に明らかにされていない部分が多い。
中世日本の宗教的な知は、どのように能楽に流れ込み、作品世界を形成していったのか。
能作品や能楽論の中の仏教や神祇に関わる面を掘り下げることで、宗教芸能としての能楽について考えるとともに、能を通して、室町の宗教文化の一端を明らかにする。

 

 

目次
序言 高橋悠介

1、能をめぐる宗教的環境/能に描かれる宗教空間
除魔・結界の呪法と芸能―「翁」の成立環境と、その近隣 大東敬明
春日若宮と能楽―若宮臨時祭、法楽能、祈雨立願能をめぐって 天野文雄
謡曲《絵馬》管見―長禄三年伊勢斎宮の旅 芳澤元
能《巻絹》に描かれた熊野の神仏 高橋悠介

2、能作品と仏教説話/唱導/要句
韋駄天説話の源流と変容―唐宋代の諸伝承と律学受講の場を視点に 西谷功
能《安字》の説話的考察―文字を買う話と男装の論理 岩崎雅彦
能《海士》の構想 中野顕正
能《重衡》の表現と思想―「寒林に骨を打つ霊鬼は」の句をめぐって 猪瀬千尋
能における宗教関係語句一斑―《放下僧・春日龍神・楊貴妃・草子洗・三輪》について 落合博志
【コラム】「狂人走れば不狂人も走る」攷―《関寺小町》試注 佐藤嘉惟

3、能楽論・能作品と教説の間
世阿弥と如来蔵―「離見の見」の内包するもの 小川豊生
能《芭蕉》の構想と草木成仏説 髙尾祐太
《求塚》の堕地獄と論理 中嶋謙昌
【コラム】術婆伽説話の生成と展開―恋は病か、破戒か、神を招くか 平間尚子

4、謡曲注釈学の黎明期
【コラム】『江口本聞書』―初期の謡曲注釈書とその伝来 高橋悠介
吉田兼右・兼見の謡曲註釈と『謡抄』―『謡抄』前史の謡曲註釈と吉田神道 野上潤一
プロフィール

高橋悠介(たかはし・ゆうすけ)
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫准教授。専門は日本中世文学・寺院資料研究。
主な著書・論文に『禅竹能楽論の世界』(慶應義塾大学出版会、2014年)、「『諸社口決』と密教的社参作法の展開」(『中世に架ける橋』森話社、2020年)、「身体生成をめぐる思想と中世仏教―五蔵観・魂魄・胎内説」(『日本宗教史3 宗教の融合と分離・衝突』吉川弘文館、2020年)などがある。

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