平安時代における変体漢文の研究
ヘイアンジダイニオケルヘンタイカンブンノケンキュウ

平安時代における変体漢文の研究

田中草大 著
日本語史上の「鵺」を把捉する
ISBN 978-4-585-29172-5 Cコード 3095
刊行年月 2019年2月 判型・製本 A5判・上製 400 頁
キーワード 漢文,古典,平安,中古

定価:8,800円
(本体 8,000円) ポイント:240pt

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書詳細

日本で著述され、かつ、本来の中国語文には見られない和習を含んだ漢文―変体漢文。
この「漢文式に日本語文を書く」というあり方は、記録・文書・典籍等を記す文語文として中核をなし、前近代の日本人の日常的な言語生活に深く根付いていた。
和文・漢文のはざまを漂う「鵺」のような存在として未だ総体を捉える基盤研究のなされていなかった変体漢文の特性と言語的特徴を同時代の諸文体との対照から浮き彫りにし、日本語史のなかに定位する。

 

 

目次
序 論
  第一章 変体漢文導論
    第一節 はじめに
    第二節 定義
    第三節 資料
    第四節 歴史
    第五節 特徴(一) 和習
    第六節 特徴(二) 記録語
    第七節 変体漢文の理論的分類
      第一項 表記体上の分類
      第二項 文体上の分類
    第八節 変体漢文はヨメるか
  第二章 研究史と本研究の観点
    第一節 変体漢文研究の意義と近年の研究動向
      第一項 表記
      第二項 語彙
      第三項 文法
      第四項 敬語
      第五項 文体
      第六項 音韻
      第七項 資料
      第八項 そのほか
    第二節 先行論の空隙と本研究の観点
  付 章 橋本進吉による「変体漢文」の定義と古事記の位置付け
    第一節 術語「変体漢文」の源流
    第二節 橋本進吉の「漢文」と「変体漢文」
    第三節 橋本の「変体漢文」と古事記の所属
    第四節 まとめ

本 論
 第一部 語彙より見たる変体漢文の性格(一)―文体間共通語への着目―
  序 章 問題の所在と本部の手法
  第一章 オドロク(驚)の語義・用法
    第一節 和文
    第二節 漢文訓読文
    第三節 変体漢文
    第四節 まとめ
  第二章 アソブ(遊)の語義・用法
    第一節 和文
    第二節 漢文訓読文
    第三節 変体漢文
    第四節 まとめ
  第三章 ヒサシ(久)の語義・用法
    第一節 和文
    第二節 漢文訓読文
    第三節 変体漢文
    第四節 まとめ
  第四章 ワヅカナリ(僅・纔)の語義・用法
    第一節 和文
    第二節 漢文訓読文
    第三節 変体漢文
    第四節 まとめ
  第五章 サカリ(盛)の語義・用法
    第一節 和文
    第二節 漢文訓読文
    第三節 変体漢文
    第四節 まとめ
  第六章 オク(置)の語義・用法
    第一節 中間総括
    第二節 和文
    第三節 漢文訓読文
    第四節 変体漢文
    第五節 まとめ
  第七章 分析結果と資料間の相違
    第一節 文体間共通語の分析結果
    第二節 文体間共通語から見る資料間の言語的性格の相違
    第三節 結論
  使用テクスト及び索引
 第二部 語彙より見たる変体漢文の性格(二)―漢文訓読語的部分への着目―
  序 章 問題の所在と本部の手法
  第一章 変体漢文における〈訓点語〉の用法(一)―スミヤカナリ(速)―
    第一節 本章及び次章の問題意識とアプローチ
    第二節 漢文訓読文
    第三節 変体漢文
    第四節 和文
    第五節 まとめ

  第二章 変体漢文における〈訓点語〉の用法(二)―タヤスシ(輒)―
    第一節 漢文訓読文
    第二節 変体漢文
    第三節 和文
    第四節 まとめ
  第三章 接尾辞「等」の訓法と用法
    第一節 変体漢文における接尾辞用法の「等」の訓法
    第二節 用法等の確認
      第一項 中古の和文
      第二項 中世の和漢混淆文
      第三項 中古の変体漢文
    第三節 まとめと課題
    付 節(一) 〈列挙〉のラの出自
    付 節(二) 先行研究の概観
  第四章 前部及び本部のまとめ
    第一節 本部第一章及び第二章のまとめ
    第二節 前部及び本部のまとめ
    第三節 他文体との関係
 第三部 表記より見たる変体漢文の性格
  序 章 問題の所在と本部の手法
  第一章 助動詞用法の「欲」の訓法と用法
    第一節 変体漢文の言語とその訓法
    第二節 「欲」の訓法研究史
    第三節 調査及び考察
      第一項 将然の例
      第二項 願望の例
      第三項 人称
      第四項 切れ続き
    第四節 まとめと課題
  第二章 変体漢文における不読字―段落標示用法を中心に―
    第一節 はじめに
    第二節 変体漢文における不読字二類
    第三節 段落標示用法の「矣」の消長
    第四節 段落標示用法の「矣/焉」「焉/矣」の消長
    第五節 出自など
    第六節 おわりに
  第三章 仮名文から変体漢文への「変換」の過程
    第一節 表記体研究における構造論と形成論
    第二節 形成論的研究と変換表記体資料
    第三節 変換文書
    第四節 変換文書の実例と概観
    第五節 概括と考察(一)真仮名が交じる要因
    第六節 考察(二)そもそも何故変換できるのか…文体と表記体
    第七節 結語
  第四章 変体漢文における、表記体に起因する言語的特徴の整理
    第一節 目的
    第二節 変体漢文の言語
      第一項 表記体としての変体漢文とその言語
      第二項 「変体漢文の言語」の範疇
    第三節 変体漢文の言語に影響する表記上の特徴の整理
      【1】定訓に基づく表記
      【2】《辞》の表記における制約
      【3】語の漢字化
      【4】日本語と中国語の文構成の相違
    第四節 まとめ及び展望

結 論
  第一章 本研究のまとめ
    第一節 本研究から見えてくること―漢文という枠とその内側―
  第二章 課題と展望
    第一節 文体と表記体
    第二節 変化・変異への検証の深化

初出一覧
鵺の鳴く夜は…(あとがきに代えて)
索 引


参考
プロフィール

田中草大(たなか・そうた)
昭和62年9月京都市生れ。大阪大学文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。京都大学大学院文学研究科講師。
専門は日本語文語史。本書所収の論考の他に『山田孝雄著「日本文体の変遷」本文と解説』(勉誠出版、2017年。共編)、「『尾張国解文』現存テクストの成立についての試論」(『国語国文』87-12、2018年)、「変体漢文、どう読むか・なぜ読むか」(『いずみ通信』44、2018年)等がある。

その他

★広告情報
「朝日新聞」(2019年2月23日)にサンヤツ広告を掲載しました。

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