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科挙のような儒教的制度を有さない他方、仏教によって葬儀や祭祀が主導されていた近世日本社会。そうした社会を生きる儒者達は、儒教儀礼、殊に東アジアで絶大な影響力を誇った『家礼』記載の喪祭礼を、どのように捉え、そしていかにして実践しようと試みていたのか。長期間にわたってこの問題と真摯に向き合い続けた、山崎闇斎を学祖とする闇斎学派に着目、思想と社会とが様々に交錯する現場に立ち入ることで、これまで見落とされてきた近世日本儒教の新しい一面を照らし出す。
松川雅信(まつかわ・まさのぶ)1989年、大阪府大阪狭山市生まれ。立命館大学文学部卒業。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。タイ・チェンマイ大学人文学部常任講師、立命館大学授業担当講師、大阪国際大学非常勤講師等を経て、現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。専門は、日本思想史、日本近世史。主要論文に、「近世儒者の神代巻批判と「神道」「上古」―鈴木貞斎に即して」(山下久夫・斎藤英喜編『日本書紀1300年史を問う』思文閣出版、2020年)、「近世日本の儒教儀礼と儒者―「東アジア思想史」のための試論的考察」(桂島宣弘ほか編『東アジア 遭遇する知と日本―トランスナショナルな思想史の試み』文理閣、2019年)、「稲葉黙斎の喪礼実践論―徂徠学批判・仏教認識に注目して」〔第1回日本経済思想史学会賞受賞〕(『日本思想史学』50号、2018年)などがある。
★書評・紹介★「日本思想史研究会会報」(京都)(2021年3月)に書評が掲載されました。 →評者:韓淑〓(Shuting HAN )氏(九州大学特別研究者) (※ 〓は、”女”偏に”亭”)「宗教研究」95巻(2021年)に書評が掲載されました。 →評者:齋藤公太氏「ヒストリア」288号(大阪歴史学会、2021年10月20日)に書評が掲載されました。 →評者:山下耕平氏