シュウキョウイサンテクストガクノソウセイ

宗教遺産テクスト学の創成

木俣元一・近本謙介 編
ISBN 978-4-585-31008-2 Cコード 3014
刊行年月 2022年3月 判型・製本 B5判・上製 728 頁
キーワード 建築,美術,仏教,宗教,説話,中国,東アジア,アジア,日本史

定価:16,500円
(本体 15,000円) ポイント:450pt

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書籍の詳細

「祈り」という人類の普遍的・根源的営みのなかで構築された宗教は、それを信仰し担う人々により、多種多様な形をもって大切に守られ、伝えられてきた。また、一方で、人間と宇宙の根源的な在り方を規定する拠り所であるが故に、世界認識における解釈の対立を生じさせ、時には宗教間の軋轢や破壊を呼び起こすきっかけともなった。
「宗教遺産テクスト学」とは、人類によるあらゆる宗教所産を、多様な「記号」によって織りなされた「テクスト」とみなすことで、その構造と機能を統合的に解明し、人類知として再定義することを目的とし、「コト」と「モノ」を一体化する新たな学術領域である。
宗教遺産を人類的な営みとして横断的かつ俯瞰的に捉え、ひと・モノ・知の往来により生成・伝播・交流・集積を繰り返すその動態を、精緻なアーカイヴ化により知のプラットフォームを構築することで、多様性と多声性のなかに位置づける。
文理を超えた三篇七章、四十の論考により示される、人類の過去・現在・未来をつなぐ新視点。

 

 

目次
カラー口絵

宗教遺産テクスト学序説 近本謙介

第一篇 生成・動態の解明
第一部 源流と伝播のメカニズム―仏教文献・図像の源流および諸地域への伝播の解明
 生き続けるバーミヤーン―大仏破壊の前とその後、現在・未来へ 宮治昭
 帝釈天と梵天が付き従う釈迦の誕生―ガンダーラの浮彫に表された「灌水」と文献伝承との関係 上枝いづみ
 ウズベキスタン南部ファヤズテパ遺跡出土初期仏教壁画について 影山悦子
 西魏時代の敦煌莫高窟に見られる習合的図像表現について―第二四九・二八五窟の壁画に見られる「ハイブリッド・イメージ」を中心に 檜山智美
 唐五代敦煌莫高窟の窟本尊と龕内壁画について 濱田瑞美
 曼荼羅の分類を問い直す 森雅秀

第二部 交流と集積の実態解明―東アジアにおける祈りの記録と記憶  東アジア仏教における二百五十戒の実践―新出資料・元照撰『摂戒種類図』を通じて 大谷由香
 霓裳羽衣雑感 荒見泰史
 朝鮮から明・清へ報告された柳川一件とその影響 程永超
  コラム:経典目録からみる中世仏教形成史研究の可能性―その考察に当たってのメモ 横内裕人
 中世寺院の蔵書における歴史書の位相―大須文庫を例として 三好俊徳
 阿弥陀堂を宗教遺産として読む―無量寿院・鳳凰堂と『観無量寿経』 冨島義幸
 夢と託宣の体現する境界性のコスモロジー―神仏と人の身体論 近本謙介
  コラム:佉羅陀山の地蔵―『大山寺縁起』の絵をよむ 本井牧子

第三部 日本における宗教美術の形成・伝来・復元  仏教美術史から宗教遺産学へ―研究史から見た課題と展望 児島大輔
 八条院の一筆大般若経・五部大乗経―魔との対峙 猪瀬千尋
 宗教遺産としての仏教説話画―聖衆来迎寺蔵「六道絵」阿修羅道幅をめぐるイメージとテクスト 山本聡美
 宗教絵画の光学的調査について 鴈野佳世子

第二篇 多様性・多声性の解明
第四部 「文化遺産」と「宗教」の歴史と理論―「宗教遺産テクスト学」の基盤構築に向けて
 聖なるものと遺産に関する覚書―研究への助走として 木俣元一
 聖なるモノの来し方、行く末―教会宝物をめぐって 秋山聰
  コラム:文化遺産研究からみた宗教遺産学 松田陽
 過去でも、記憶でもなく―ミュージアム化とロシアの宗教遺産 高橋沙奈美
  コラム:西洋近世美術における礼拝価値と博物館 栗田秀法
 近代ギリシアと古代の宗教文化遺産―サモスのヘライオンをめぐって 周藤芳幸
 天の原型を計測する―有形・無形宗教遺産としての聖地エルサレムとその複製 水野千依
 キュビスムと聖性―アルベール・グレーズのキリスト教信仰と失われた宗教壁画 松井裕美

第五部 宗教実践の多様性と遺産化をめぐる諸問題
 聖性の遺産化をめぐる政治力学の理解に向けて―エチオピアのイスラーム聖者崇敬複合の事例 石原美奈子
  コラム:「なぜそこまでして文化財を守るのですか」―トンブクトゥ写本の救出活動の事例から 伊東未来
 ライオン人間、象に変身できた男―「神秘的融即」のその後 出口顯
  コラム:宗教遺産としての共飲共食 佐々木重洋

第三篇 文理融合による新展開と未来への発信
第六部 文理融合型研究の新展開構築
 科学技術と人文学 梶原義実
 加速器質量分析による和紙資料の14C年代測定法―測定法の原理と古文書・古筆切への適用 小田寛貴
  コラム:エジプトのピラミッド研究における三次元計測 河江肖剰
 情報学に基づく社会発信研究―行政オープンデータ推進と考古資料デジタル化の地域展開 遠藤守
 考古資料3Dデータの図化システムについて 井上隼多・野原裕太

第七部 宗教遺産先端アーカイヴ構築と発信
 宗教遺産学の実践としての宗教文化遺産アーカイヴス構築―龍谷大学による「宗教テクスト文化遺産アーカイヴス研究基盤」創設のために 阿部泰郎
  コラム:仏教写本研究とデジタルアーカイブの展望 三谷真澄
  コラム:宗教テクストを体験する―「明恵上人紀州八所遺跡」と明恵の夢想に注目して 野呂 靖
  コラム:暦注の伝承と民俗―土用から 小池淳一
 宗教遺産としての法相論義文献 楠淳證

まとめと展望 木俣元一

 あとがき 木俣元一・近本謙介
 執筆者一覧
プロフィール

木俣元一(きまた・もとかず)
1957年生まれ。名古屋大学人文学研究科教授。専門は西洋中世美術史。
著書に『シャルトル大聖堂のステンドグラス』(中央公論美術出版、2003年)、『ゴシックの視覚宇宙』(名古屋大学出版会、2013年)、『ゴシック新論 排除されたものの考古学』(名古屋大学出版会、2020年)などがある。

近本謙介(ちかもと・けんすけ)
1964年生まれ。名古屋大学人文学研究科教授。専門は中世宗教文芸。
著書に『春日権現験記絵注解』(神戸説話研究会編、和泉書院、2005年・2014年改訂重版)、『天野山金剛寺善本叢刊』第一期・第二巻「因縁・教化」(共編著、勉誠出版、2017年)、『玄奘三蔵―新たなる玄奘像をもとめて』(共編著、勉誠出版、2021年)、『ことば・ほとけ・図像の交響―法会・儀礼とアーカイヴ』(編著、勉誠出版、2022年)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「週刊仏教タイムス」(2022年10月13日、4面)にて紹介されました。
 

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