アジア遊学288
ヒガシアジアノコウノブンカシ

東アジアの「孝」の文化史

前近代の人びとを支えた価値観を読み解く
雋雪艶・黒田彰 編
ISBN 978-4-585-32534-5 Cコード 1310
刊行年月 2023年10月 判型・製本 A5判・並製 336 頁
キーワード 仏教,宗教,東アジア,考古

定価:3,520円
(本体 3,200円) ポイント:96pt

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書籍の詳細

中国をはじめとする東アジアの文明の歴史において重要な役割を果たし、かつては東アジアの人々にとって最も重要な価値観、行動規範であった、「孝」という思想と文化。
東アジア各国において伝承された「孝」は、歴史や文化的背景によって異なり、様々な形で表象されてきた。
考古学の文物や文献および敦煌の文書などの重要な一次資料にはどのような形で残されてきたのか。
孝の文化は仏教とどのように融合して、変化したのか。
また、日本の説話、和歌、謡曲、絵画などではどのように表現されてきたのか。
社会史、思想史、文学史、美術史など多領域に散見される「孝」という文化が、長い歴史の中で果たしてきた役割を客観的に認識し、学際的な視点から考察する。

 

 

目次
序 雋雪艶
序文 黒田彰
一、孝子伝と孝子伝図
中国の考古資料に見る孝子伝図の伝統 趙超
舜の物語攷―孝子伝から二十四孝へ 黒田彰
伝賀知章草書『孝経』と唐宋時代『孝経』テクストの変遷 顧永新(翻訳:陳佑真)
曹操高陵画像石の基礎的研究 孫彬
原谷故事の成立 劉新萍

二、仏教に浸透する孝文化
報恩と孝養 三角洋一
〈仏伝文学〉と孝養 小峯和明
孝養説話の生成―日本説話文芸における『冥報記』孝養説話 李銘敬
説草における孝養の言説 高陽
元政上人の孝養観と儒仏一致思想―『扶桑隠逸伝』における孝行言説を中心に 陸晩霞
韓国にみる〈孝の文芸〉―善友太子譚の受容と変移 金英順
平安時代における仏教と孝思想―菅原文時「為謙徳公報恩修善願文」を読む 吉原浩人

三、孝文化としての日本文学
漢語「人子」と和語「人(ひと)の子(こ)」―古代日本における〈孝〉に関わる漢語の享受をめぐって 三木雅博
浦島子伝と『董永変文』の間―奈良時代の浦島子伝を中心に 項青
『蒙求和歌』における「孝」の受容 徐夢周
謡曲における「孝」 ワトソン・マイケル
『孝経和歌』に見る日本における孝文化受容の多様性 隽雪艶
和漢聯句に見える「孝」の題材 楊昆鵬
橋本関雪「木蘭」から見る「孝女」木蘭像の変容 劉妍
プロフィール

雋雪艶(せん・せつえん)
中国・清華大学人文学院外国語言文学系教授。専門は中日古代比較文学比較文化研究︒著書に『藤原定家「文集百首」の比較文学的研究』(汲古書院、二〇〇二年)、『文化的重写:日本古典中的白居易形象』(清華大学出版社、二〇一〇年)、『日本古代文学と白居易』(共編、勉誠出版、二〇一〇年)などがある。

黒田彰(くろだ・あきら)
佛教大学名誉教授︒専門は国文学(中世)。主な著書に『中世説話の文学史的環境』正・続(和泉書院、一九八七・一九九五年)、『和漢朗詠集古注釈集成』全三巻(伊藤正義と共編、大学堂書店、一九八九~一九九七年)、『孝子伝の研究』(思文閣出版、二〇〇一年)、『孝子伝図の研究』(汲古書院、二〇〇七年)などがある。

書評・関連書等

★書評・紹介★
「週刊仏教タイムス」(2024年1月1日、8面)「読書案内」で紹介されました。

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