ワシヲカガクスル

和紙を科学する

製紙技術・繊維分析・文化財修復
大川昭典 著
ISBN 978-4-585-35002-6 Cコード 1058
刊行年月 2024年6月 判型・製本 B5判・並製 264 頁
キーワード アーカイブズ,文化史,東アジア,日本史,近世,中世

定価:4,620円
(本体 4,200円) ポイント:126pt

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書籍の詳細

古文書・古典籍・絵画など、日本には「紙」の文化財が数多く残されている。
これらの料紙には、どのような材料が使用され、どのような漉き方、加工が施されたのか。
また、色や大きさを選定する背景には、どのような価値観があったのか―。
紙はその当時の人びとの心性や文化体系をいまに伝える貴重な史料である。
それらの文化財を守り、伝えていくためには、基盤となる紙の調査・分析を欠くことができない。
40数年に及び、先駆的に紙の文化財の調査・科学的分析に関わり、料紙の材料や構造、製法の研究において、数多くの実績を残し、修理用紙の作成、料紙の復元などにも尽力してきた著者の知見を初めて集成。
現在、大きな展開を見せている「紙」の研究の基盤と歩みを提示する画期的な一冊。
図版掲載点数250点超。

 

 

目次
カラー口絵

緒言 湯山賢一(東大寺ミュージアム館長)

第Ⅰ部 日本古代の製紙技術
古代の造紙技術について
製紙に関する古代技術の研究 大川昭典・増田勝彦
製紙に関する古代技術の研究(Ⅱ)―打紙に関する研究 増田勝彦・大川昭典
製紙に関する古代技術の研究(Ⅲ)―苧麻布・楮の臼搗による叩解 大川昭典・増田勝彦
【特別寄稿】正倉院宝物の紙調査成果における大川昭典氏の功績 増田勝彦(和紙文化研究会副会長)

第Ⅱ部 和紙の製法と材料
料紙の構造と組成について
和紙つくりについて
楮・雁皮配合紙の手漉き試験
材料からみた和紙の歴史的変化
【コラム】土佐七色紙の復元 有吉正明(高知県立紙産業技術センター素材開発課)

第Ⅲ部 料紙調査の技法と分析
文書紙の繊維組成及び填料の観察
繊維形態及びC染色液の呈色
浮世絵の紙―時を隔てた二作品の用紙を分析して
箔打紙比較試験

【対談】料紙研究の視点
大川昭典×湯山賢一

掲載繊維写真一覧

あとがき
初出一覧
プロフィール

大川昭典(おおかわ・あきのり)
1942年生まれ。和紙研究家。専門は製紙技術。
城東製紙、岡山製紙を経て、1968年高知県紙業試験場(現高知県立紙産業技術センター)に採用される。
文化財の修理工房の依頼により繊維調査や補紙の製作を行い、2005年~2008年には正倉院宝物特別調査紙(第2次)に参加(成果は『正倉院紀要』第32号に収載)。また、鹿苑寺の修理に伴い新たに作る金閣二階天井画に用いる画用紙や書院の襖用紙を手漉き組合青年部と共に制作している。
論文に「製紙に関する古代技術の研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」(増田勝彦と共著『保存科学』20、1981年、『同』22、1983年、『同』24、1985年)などがある。

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