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〈予言文学〉とは予言書・未来記の研究に端を発して、過去・現在と未来をつなぐ文字テクストとしての、託宣記・夢想記・遺訓書・童謡(わざうた)類を包括する新概念である。この概念を軸にすることで、従来見のがされていた予言的な言説をひろいあげることができると同時に、物語や詩歌をはじめ既知の文芸もあらたな読みの射程が拓かれてくる。〈予言文学〉を権威化された古典(カノン)の読みかえの契機や媒介とし、新しい文学史を記述する可能性を見出す。
小峯和明(こみね・かずあき)立教大学文学部教授。文学博士。専門は日本中世文学、東アジアの比較説話。著書に『中世法会文芸論』(笠間書院、2009年)、『中世日本の予言書』(岩波新書、2007年)、『院政期文学論』(笠間書院、2006年)、『野馬台詩の謎』(岩波書店、2003年)、『説話の言説』(森話社、2002年)、『説話の森』(岩波現代文庫、2001年)、『説話の声』(新曜社、2000年)等。